核家族化により「部屋数」が必要なくなった


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一世帯当たりの家族数は、年を追うごとに減少し続けている。
続いて、第2の理由としては「部屋数を必要としなくなった」ことも、和室の減少につながっています。かつての日本には、「子供1人毎にひと部屋」という『部屋数』を重視する傾向がありました。子供に個室を与えることこそが、豊かさの象徴だったのです。そのため、分譲マンション業者も消費者ニーズを汲み取り、3DK~4LDKの間取りを積極的に展開しました。

近年、行き過ぎた「個室文化」が引きこもりや親子のコミュニケーションを希薄化させる原因になっているとの見方もありますが、特に、思春期を迎えた子供にとっては、1人になれる空間があった方がいいでしょう。「異性(男の子と女の子)の兄弟姉妹がいる場合は、なおさら」という親御さんの意見もしばしば耳にします。

ところが、核家族化の進行により1世帯当たりの居住人数は減る傾向にあります(下グラフ参照)。その結果、マンションにおいても『部屋数』を重視した間取りは、その必要性が薄れるようになりました。前ページで触れたタタミ離れが後押しする形で、和室を造らないマンションを増加させたともいえます。『部屋数』を減らすことの“しわ寄せ”が、和室に来たというわけです。


一般世帯の世帯構成および1世帯当たり人員の推移


(出所)総務省統計局「国勢調査報告」「社会生活統計指標」

さらに、その裏には和室の建設コストが洋室にくらべて高くなりやすいことも関係していました。少しでも原価を低く抑えたい分譲マンション業者にとっては、消費者に喜ばれない和室をなくすことが、コスト削減につながったわけです。「造り手」と「住み手」のニーズが一致した結果の和室離れと言ってもいいのかもしれません。日本人として、住生活の洋風化が良いのか悪いかの判断は難しいところですが、事実は事実として受け止めるしかないでしょう。

客間としての和室ニーズが薄れてしまった


そして最後、客間としての和室ニーズが薄れてしまったことも理由の1つとされています。読者の皆さんは、たとえば1カ月の間に何人のお客さんを自宅に招いていますか? 本来、和室には客間としての機能(役割)が備わっており、来客の際には和室が役立ったものです。

しかし、どうでしょう。寝泊りを伴うお客さんが来訪する頻度は、少なくなっているように思います。あくまで自分の身の回りを振り返っての印象ではありますが、来客がそれほど多くないのであれば、(来客を目的とした)和室は必要ないという発想につながります。その分、広いリビング、あるいは、洋室が1つ増えた方が、使い勝手は向上するでしょう。

今回の内容は、あくまでマンションでの話であって、一戸建て住宅には必ずしも当てはまらないと感じています。コンパクト性を兼ね備えた「マンション」という住居形態だからこその変化(和室離れ)だと考えます。和室が日本の住宅文化から消えてなくなることはあり得ません。インテリア性に富んだ畳の登場によって、畳が復権する日も遠くないように思っています。
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