持ち家は過去に例がないほどの「買い時」
一方、持ち家はというと、こちらは過去に例がないほど買いやすくなっているのです。まず住宅価格はバブル崩壊後の90年代以降下がり続け、首都圏では新築マンションの平均価格が90年の6123万円から2003年には4069万円にダウンしています。しかも平均面積は65.54m2から74.68m2に拡大し、立地も都心回帰が進行中です。
住宅ローンの金利も今なら過去最低の水準です。バブル期には民間ローンは7%~8%が当たり前でしたが、その後どんどん下がり、今では2%~3%が主流に。なかには1%未満という、少し前までは信じられないくらい超低金利のローンも登場しています。さらに住宅ローンを借りた額に応じて所得税が戻ってくる住宅ローン減税も、現行制度では10年間で最大500万円が戻ってきます。今なら家賃並みのローン負担で、都心寄りの広めのマンションを手に入れるのも決して夢ではありません。
持ち家にも「死角」がないわけではない
今は低金利でも、数年後に金利が上がれば、返済額にも影響が出てくるのです。 |
少子化や過剰供給で、値上がりを期待するのはもはや難しいですし、マンションの大量供給の反動から再び価格が下落するという噂も絶えないのは事実です。立地や周辺環境などの条件が劣る住宅を買ってしまうと、入居後に大きく値下がりするケースも出てくるでしょう。さらに心配なのは住宅ローン金利の上昇です。1%前後の超低金利ローンは、いずれも2~3年後にその時点の金利に切り替わる短期固定型の金利です。景気回復への期待から、すでに一部の金利は上昇が始まっており、2~3年後には短期固定型の住宅ローン金利が今より高くなっている可能性もあります。
金利が上がるとローンの返済負担が増え、余裕のないぎりぎりの資金繰りで住宅ローンを借りていると、最悪の場合、破綻してしまうこともあり得るのです。
老後の不安を解消するために家を買ったのに、かえって生活が破綻してしまった……物件選びや住宅ローンの資金計画を誤ると、そんな悲劇が現実のものになってしまうかもしれません。とはいえ、国の年金はあてにならず、リストラの波がいつ再来するかも分からないこれからの時代、やはり借り物でない「自分の家」があることはひとつの安心材料です。決して無理をしない範囲で、できるだけ質が良く長持ちする家を手に入れるのが、賢い選択といえるのではないでしょうか。
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