伊右衛門の快進撃は、続くのか?
【市場ポテンシャル】まだまだ伸びそう
「お~いお茶」でお馴染みの伊藤園では、緑茶の飲料化比率を毎年発表しています。飲料化比率とは、緑茶全体の消費量のうち、茶葉ではなく缶飲料やペットボトル飲料としてどの程度消費されているか?の割合をさします。
ちなみに2002年の飲料化比率は13.2%、2003年の飲料化比率は14.9%でいまだに伸び続けており、緑茶飲料の市場規模は推定で3,092億円になるそうです。仮に飲料化比率が増大すれば、市場規模はまだ大きくなりそうです。
【顧客ニーズ】健康性と嗜好性がよりくっきり
市場はしばらく安泰であるとすれば、顧客ニーズはどう移り変わっていくのでしょうか?
緑茶飲料への顧客ニーズとしては、のどの渇きを癒す「止渇性」、食事ついでに飲む「食中飲料」、カテキンでお馴染みの「健康性」、そして緑茶のおいしさを愉しむ「嗜好性」などが挙げられます。
「止渇性」は、清涼飲料全体が持っています。緑茶市場がいまだ健在なのは、「食中飲料」として日本人に選ばれていることが挙げられます。つまり4つのニーズのうち、2つは緑茶飲料どれもが持っているニーズです。
最近キリンビバレッジから「食べ茶」という新商品がでましたが、次に述べる2つのどちらかのニーズで支持されるかがポイントのように思えます。
「健康性」で話題になったのは、花王ヘルシア緑茶です。その後、各社カテキンを多く含んだ緑茶飲料で追随を図っています。そして「嗜好性」。サントリー伊右衛門は、まさに『ど真ん中のニーズ』を狙ってきたのです。
【競争優位性】ブランド力×嗜好性のせめぎあい
1985年に初の缶入り緑茶「お~いお茶」が発売されてから、緑茶飲料市場も20年を迎えます。まさに「老舗 伊藤園」 vs 「他メーカー」 の競争が続いて、先にあげた顧客の4つのニーズを満たす価値の高度化が図られてきました。
この市場は、いつもそうなのですが他メーカーが斬新な新商品でヒットを飛ばすと、約2年以内には、伊藤園「お~いお茶」にシェアが揺り戻るのです。2000年、キリン生茶が一時攻勢を強めましたが、2002年には「お~いお茶」がシェアを揺り戻しました。
マーケティングの鉄則の1つに「一番手の法則」がありますが、伊藤園は自らのブランド力と開発力で、ヒットする他メーカーの新商品を後からじっくりねじ伏せるのです。
今回もまちがいなく、伊藤園は2004年に「お~いお茶シリーズ ○○」といったサブブランドで軽くジャブを仕掛けつつ、それでも伊右衛門の勢いが治まらない場合には、2005年以降、会社の威信をかけて「嗜好性」にとがった新商品を出すことでしょう。
サントリーもそのことは分かっていますから、次にどのような手を打ってくるか注目です!違いのわかるオトナには、競争大歓迎ですね!!
● 関連サイト :オトナのマーケティング心理学