マーケティング/マーケティング事例

使い回しで廃業に追い込まれた『船場吉兆』(2ページ目)

5月28日、料理を使い回していることが発覚し、客足が遠のいた船場吉兆の廃業が明らかになりました。不祥事続きでブランド店から短期間で廃業へと追い込まれた船場吉兆ですが、再建の道は無かったのか?

安部 徹也

執筆者:安部 徹也

マーケティング戦略を学ぶガイド

使い回しの経験がある料理店はなんと21%にも上る!

実に10店舗のうち2店舗で使い回しが行われている事実が明らかに!
船場吉兆の料理使い回しの報道を受け、日経レストランが過去1年以内に飲食店に勤務したことのある経験者100人に緊急アンケートを行ったところ実に驚くべき事実が明らかになりました。

その調査によれば、「勤務しているもしくは勤務していたお店で、お客が手をつけずに残した料理を使い回したことがある」と答えた人は15%。使い回しの定義を拡大して「料理そのものではなく、刺身のツマや添え物などを使い回したことがある」と答えた人は実に21%にも上るという驚くべき結果が出たのです。

刺身のツマなどはいくら添え物とはいえ、口にするお客様もいらっしゃるのですから、料理そのものではないにしても、使い回しには法的には問題が無くても、モラル的な問題は問われます。

また、日経レストランではこのような飲食店の実態に対して、利用者200人に対して使い回しをどのように感じているかという調査も併せて行っていますが、こちらの統計も興味深いものになっています。

アンケートでは「飲食店では手をつけないで残った料理の使い回しが行われていると思う」と答えた飲食店利用者は実に86.5%。「刺身のツマや添え物などは使い回されていると思う」に至っては93%がそう思うと答えています。

統計的にはサンプル数が少ないだけにこれらの調査結果を日本全国の飲食店の実態と思いこむことはできませんが、実に飲食店の5件に1件は使い回しを実際に行っており、利用者の10人に9人は飲食店が使い回しを行っているのではないかと疑いを持っているというのです。

私自身の経験から言っても、飲食店で若干古くなって変色した野菜を出された経験もありますので、たとえ使い回しでなくとも、このような飲食店に対しては使い回しの疑いをかけて、二度と利用したくないと思うのは消費者の当然の成り行きと言えます。

利用者はお金を支払っているのですから新しいものを食べる権利があります。経費削減をしたいから消費期限の切れた料理を出すとか、余った料理を使い回すというのは企業側の勝手な論理でしかありません。

一旦このような企業の勝手な振る舞いが表に出れば、消費者の疑いが確信に変わり、企業に大きなダメージを与えることを関係者は肝に銘じておく必要があると言えるでしょう。

今回の使い回しが大きなダメージとなり船場吉兆は廃業という企業にとっては最悪の結末を迎えましたが、この結末を回避する方法はなかったのでしょうか?

最近は企業の不祥事が頻発していますが、次のページでは不祥事が発覚した際のマーケティング戦略について考えていくことにします。次ページへお進み下さい!
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