マーケティング/マーケティング事例

使い回しで廃業に追い込まれた『船場吉兆』

5月28日、料理を使い回していることが発覚し、客足が遠のいた船場吉兆の廃業が明らかになりました。不祥事続きでブランド店から短期間で廃業へと追い込まれた船場吉兆ですが、再建の道は無かったのか?

安部 徹也

執筆者:安部 徹也

マーケティング戦略を学ぶガイド

5月28日、日本を代表する日本料理店『船場吉兆』がその歴史に幕を閉じることが明らかになりました。

数々の不祥事発覚後、経営再建に取り組んだ船場吉兆だったが・・・

2007年10月、船場吉兆が運営する「吉兆天神フードパーク」で黒豆プリンなど5種類に及ぶ菓子の消費期限を偽装している問題が発覚すると、翌月には惣菜の消費期限切れ後の販売や地鶏・牛肉の産地偽装など次々に不祥事が明らかに・・・。この不祥事の責任を取って経営陣は辞任。今年の1月には前社長の夫人であり、吉兆創業者湯木貞一氏の三女である佐知子氏が社長に就任して経営再建に取り組んでいました。

料理の使い回しが発覚!社会的信用が更に失墜

刺身のツマなど使い回しが発覚し、窮地に追い込まれた船場吉兆。
ところが、昨年で不祥事の膿を出し切ったかと思いきや、今月初めには料理の使い回しを料理長が告白。使い回しの料理はアユの塩焼きやゴボウをウナギで包んだ“八幡巻き”、エビと魚のすり身を蒸した“えびきす”、サーモンの焼き物、稚アユの素揚げ、刺し身のツマなど最低でも6品に上りました。

ただでさえ昨年の度重なる不祥事で信用が失墜していたところに、料理の使い回しという更に重度のお客様を裏切る行為に客離れが加速。遂には再建を断念して廃業を選択するという結果に至ったわけです

今回、新たにアワビやフルーツ寄せゼリー、煮こごり、くわいせんべい、たたみいわし、ささ巻きずし、このわた、枝豆など実に8品に上る使い回しが明らかになるなど最後の最後までこれまで築いてきた信用に泥を塗る顛末となりました。

実はこの使い回しの問題は何も船場吉兆だけの問題ではなく、他の多くの飲食店でも行われているという調査結果があります。

次のページでは飲食店の使い回しの驚くべき実態を取り上げます。
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