アマゾンのランキングを独占したカラマーゾフ兄弟とは?
人間の愛憎劇を描いたドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』 |
『カラマーゾフの兄弟』と言えばご存知ロシアの文豪ドストエフスキーが執筆した長編小説。『罪と罰』と並び称される代表作ですが、もともとは2部構成で執筆される予定がドストエフスキーの死によって1部のみの発表となった彼自身最後の作品です。
小説の舞台は19世紀半ばの帝政ロシア。強欲で女性関係にだらしない父親と性格の全く異なった3人の息子、そして父親の隠し子と噂される使用人の間で繰り広げられる愛憎劇を描く小説なのですが、父子をめぐる三角関係のもつれや、殺人事件、冤罪、自殺など現代とは何ら変わりないテーマを取り扱った時代を超えた不朽の名作と言えます。ロシアで近年映画化もされているという事実を考えると、如何にこの『カラマーゾフの兄弟』が現代にも通じるものであるかを物語っています。
原作は1879年に新聞に連載され、ドストエフスキー没後の1880年に文庫本として出版されたと言いますから実に128年の時を超えて今なお人々に愛され続けているというわけです。日本においても1957年に岩波文庫から初版が出版され、その後も1978年には新潮文庫、そして昨年は光文社古典新訳文庫から出版されるなど実に様々な出版社から独自の翻訳本が出版されています。
特に昨年光文社から出版された新訳本5巻は1年足らずで26万部を超え、古典の名作では異例の売上を記録。このブームが今回のランキングトップ10に5冊同時にランクインするという偉業に繋がったのです。
ただ、ドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』は名作とは言え、今なぜ128年も前に書かれた小説がブームになっているのでしょうか?
その背景を探ってみるとやはり絶妙なマーケティング戦略が仕掛けられていました・・・
その内容は次ページでお伝えします!