中間判決は会社側勝利
そして2002年9月に中間判決が出されている。その判決は社員の職務発明の権利は会社側に帰属するというものであった。そして審議の焦点は特許法で定めるところの、職務発明の権利譲渡における発明者への相当の対価の額について移ったのである。
特許法では職務発明に対して第35条で次のように述べている。
“従業者は、契約、勤務規則その他の定により、職務発明について使用者等に特許を受ける権利若しくは特許権を承継させ、又は使用者のため専用実施権を設定したときは、相当の対価の支払を受ける権利を有する”
特許権の価値の定義
今回の判決では特許権の価値について定義している。特許権の価値は“特許の権利が存続する間に独占することで得られる利益”ということである。
そして今回の発明はノーベル賞級の世界的発明といわれており、中村氏の貢献度を約50%とした。結果、独占の利益の約半分の604億円が中村氏への発明の対価としている。これにより中村氏は残り404億円の追加請求を検討しているとのことである。
日本でも社員の特許に対する意識が高まってきており、職務発明に対する同様の訴訟がいくつか出されてきている。それは次ページのように数億円単位での判決となってきているのだ。