営業のノウハウ/営業の商談・ヒアリング

【ブックレビュー】 トップに売り込む最強交渉術(2ページ目)

いきなり社長に売り込む。そんな営業は馬鹿げていると思いますか?そんなあなたも、この本を読むと考えが変わるはず。意思決定者への直接アプローチは、厄介なステップを避け、セールスサイクルを短縮します。

執筆者:鹿俣 之信

トップに売り込む最強交渉術

アンソニー パリネロ (著)
桜井 祐子 (翻訳)

価格: 1,600円
出版社: 翔泳社
ISBN: 4798102709
詳細はこちら

アプローチの電話をかけると、まず情報担当者が紹介されます。訪問して商品の説明をすると、たいていは技術的な話で盛り上がります。データベースは何を使っているとか、プログラミング言語は何だとか。そんな話で盛り上がると、次回訪問時には詳細な資料を提出するように言われます。

次に訪問するときは、情報担当者の他に情報担当マネージャーが同席します。前回同様、終始技術的な話で盛り上がりますが、価格の話や決定を促すような話をすると、話を濁されてしまいます。

その後、何度訪問しても商談は進展せず、時間と労力をつぎ込んだにも関わらず、最終的には何の成果もなしという結果に終わります。まさに冒頭で話したような悲劇です。

なぜこのようなことになってしまうのでしょうか。理由は簡単です。情報担当者や情報担当マネージャーは、技術的な話に興味があるので話を聞いてはくれますが、彼らには何の決定権もないので、いくら彼らを説得してもビジネスに繋がることはないのです。

情報システムが解決するのは、売上の増加・利益率の改善・経費の削減などの経営上の課題です。そして、このような問題に本気で興味を示すのは、VITOだけです。つまり、情報システムの価値を理解できるのはVITOだけなのです。

そのような理由から、情報システムの営業はVITOに対して直接行なうのが最も効率的だと言えます。そんなわけで、私は本書に書かれていることを意図せずして実践しているわけですが、その効果のほどは身を持って感じています。

まず、VITOは忙しいので、すぐにビジネスの話を始めることができます。また、VITOは私たちのソリューションがVITOの問題を解決できるかどうかを素早く判断できるので、見込みがあるかないかがすぐに分かります。さらに、VITOが納得すれば反対勢力も黙らざるを得ないので、すぐに契約が決まります。

本書には、ここで紹介した内容以外にも、VITOの関心の引く方法や、VITOとアポイントを取る方法などが具体的に書かれています。翻訳書なので、若干日本向けにアレンジが必要な部分はありますが、ほとんどの内容は「なるほど」と思えるものでした。

あなたもこの本を読んで、VITOにアプローチしてみてはいかがでしょうか?

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