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【連載】クレームの心理学 お客様を怒らせる2つの引き金(2ページ目)

クレームの原因が、私たちの過失であろうとお客様の誤解であろうと、私たちはお客様の怒りを静め、和解に導かなければなりません。そのためには「怒り」を理解することが一番の近道です。

執筆者:鹿俣 之信

自尊感情

私たちが、自分という存在に満足するには、自分自身を好きでなければなりません。この自分を好きという感情、自分を大切に思う感情、自分の存在を肯定する感情を「自尊感情」といいます。

お客様を怒らせる引き金のひとつは、お客様の自尊感情を傷つけてしまうことです。侮辱されたり、失礼な扱いをされたり、大切にされなかったりすると、自分に対する肯定感が薄れ、自己嫌悪になり、自尊感情が傷ついてしまうのです。

人は、自尊感情が高いときは、心に余裕があり、他人に対して思いやりを持つことができます。他人の過ちを許す寛大さを持ち、他人からどう思われようが気になりません。

逆に、自尊感情が低いときは、心に余裕がなく、自分のことで頭が一杯になります。他人の過ちを許すことができず、他人にどう思われているかが気になります。

謝罪に耳を貸さない、和解のための提案を受け入れてくれない。そんなお客様は、自尊感情が傷ついたことで、一時的に自分ことで頭が一杯になり、私たちの過失を許す余裕が持てないのです。お客様の怒りを静め、過ちを許してもらう(あるいは誤解を解く)には、お客様の傷ついた自尊感情を回復させてあげる必要があります。

自尊感情とコントロール感の関係

物事がうまくいっているときは、気分がよくなり多少のことでは怒ったりしないが、物事がうまくいかないときは、イライラして些細なことで腹が立ってしまう。あなたにもそんな経験ありませんか?

自尊感情は、コントロール感ともかかわりがあります。私たちは、物事がうまくいく(コントロール感が得られる)ときほど、自分に力があるように思い、自分自身に満足し好感を持ちます。物事がうまくいかない(コントロール感が得られない)ときほど、不足感や無力感を感じ、自分自身に満足できず自己嫌悪に陥ります。

お客様の奪われたコントロール感を回復することは、自尊感情を回復することにもつながるのです。

次回は・・・

次回は、失われたコントロール感と自尊感情を回復し、和解へ導く方法についてお話します。

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【連載】クレームの心理学
第1回 クレーム応対の極意
第2回 お客様を怒らせる2つの引き金
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