営業のノウハウ/営業の商談・ヒアリング

【連載】説得と交渉の営業心理学 第5回 手に入りにくいほど欲しくなる(3ページ目)

売り切れだと分かった途端に、ますます欲しくなる。私たちは、手に入りにくいものほど貴重なものだと考える傾向がある。「希少性の原理」と呼ばれるその心のカラクリを解き明かしてみよう。

執筆者:鹿俣 之信

セールスの現場では

希少性の原理(と心理的リアクタンス)は、単純でありながら、非常に効果の高い承諾誘導の技法になりうる。私たちは、希少性の圧力を十分に理解しているにもかかわらず、その圧力になかなか抵抗できないからだ。

基本的には、顧客の購入機会を制限することで、希少性の原理を意図的に働かせることが可能である。例えば、販売数量を限定する、販売期間を限定する、販売地域を限定する、購入可能条件をつける(以前にある商品を購入したお客様のみ購入できるなど)といった方法は、簡単に実践することができる。

お客様はとても大切な存在である。お客様に対しては、十分に誠意を持って丁寧に応対しなければならない。しかし、かといってお客様の言うことをなんでも聞けばいいというものではない。

あなたはお客様から呼ばれたからといって、ホイホイと顔を出してはならない。商談のときに値引きしないと買わないと言われたからといって、ホイホイと値引きしてはならない。

お客様にペコペコ頭を下げて何とか買ってもらう。お客様に言われたことは何でもやる。このように、お客様の要求に簡単に応じてしまうと、あなたの価値が下がってしまう。いつでも会える営業担当者、なんでも言うことを聞く営業担当者は、希少性が低いためますます立場が弱くなってしまうのだ。

ときには、お客様の要求を断わることも必要だ。お客様の要求を断わると、希少性の原理が作用し、あなたの価値が高まる。また、お客様は「いつでも買える」という自由を失うことで、ますます買いたくなる(自由を回復しようとする)のだ。

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【連載】説得と交渉の営業心理学
第1回 二度目は断れない
第2回 拒否させて譲歩する
第3回 一面呈示と両面呈示
第4回 結論を言わない暗示的説得
第5回 手に入りにくいほど欲しくなる

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