■ 顧客にとっては全員が自分の担当者
顧客にとっては、相手が社長だろうと営業担当者だろうと事務員だろうと、全員が自分の担当でなくては困る。顧客は、会社の全員が自分を知っており、一貫性のある対応がなされることを期待している。顧客から見れば、会社は一つなのだ。
あなたと顧客がどのようなやりとりをしているのかを、他の社員(他の営業担当者、配送担当者、事務員など)は知っているだろうか。あなたが担当している顧客からのサービスリクエストに、他の社員は対応できるだろうか。
「担当が不在ですので・・」「担当の者でないと分かりません」「私の担当ではございません」顧客はそんなセリフを聞きたがってはいない。
■ カスタマー・リレーションシップ・マネジメント
【事例】ある建設機械メーカーでの話。顧客から電話がかかってきた。(すべて仮名)
社員 | 「はい。東海建機の鈴木でございます。」 |
顧客 | 「大洋建設の千葉ですが、営業の井上さんお願いします。」 |
社員 | 「大変申し訳ございません。井上はただいま外出しております。よろしければ、代わりに私がご用件をお伺いいたしますが。」 |
顧客 | 「昨日配達にきた人に、故障した部品を井上さんに渡して、修理してもらうように頼んだんだ。いつ直ってくるか分かるかな?」 |
社員 | 「はい。配達担当の坂下から、井上が承っております。修理が終わるのは明日の午前中で、明日の午後に井上がお届けいたします。」 |
顧客 | 「そうか、ありがとう。じゃ、よろしく頼むよ。」 |
こんなことホントにできるのか?そう思っただろうか。実は、これを実現しているのはCRMと呼ばれる顧客情報システムだ。
CRM(Customer Relationship Management)とは、顧客に関わる情報を会社全体で共有し、一貫した顧客への対応を実現するための手法である。具体的には、商品の販売、保守サービス、問い合わせやクレームへの対応など、個々の顧客とのすべてのやり取りをデータベースで一元管理する。そして、それらの情報を全社で共有し、顧客と接する現場で活用することにより、一貫性のある顧客対応を実現するのである。CRMは、一貫性のある顧客対応を通じて、顧客と企業との間に良好な関係を築き、維持することを目的としている。
この事例では、配達担当の坂下さんが、顧客から修理するように部品を預かってきたこと。それを営業の井上さんに渡したこと。営業の井上さんが、昨日の夕方に修理に出したこと。修理が終わるのが明日の午前中であること。井上さんが明日の午後に客先へ持っていく予定であることが、データベースに入力されている。これだけの情報がそろっていれば、誰でも顧客からの問い合わせに応対できる。
顧客にとって企業の顔はひとつ。それを実現するためには情報システムの活用が必要不可欠である。CRMを実践している企業、実践していない企業。もうすでに、その差は開きつつある。
※CRMについては、別の連載で詳しく取り上げます。
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■ 【連載】満足の先にあるロイヤルティ |
第1回 満足していても顧客は離れていく |
第2回 顧客ロイヤルティの育成(前編) |
第3回 顧客ロイヤルティの育成(後編) |
第4回 ゼロ以下顧客とロイヤル顧客 |
第5回 あなたにロイヤルティはある? |
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