営業のノウハウ/営業の商談・ヒアリング

【連載】説得と交渉の営業心理学 第2回 拒否させて譲歩する(2ページ目)

買う気はなかったのについ買ってしまった。そんな経験は誰にでもあるはず。今回は、前回紹介した「フット・イン・ザ・ドア・テクニック」とは、まったく逆の承諾誘導のテクニックを紹介しよう。

執筆者:鹿俣 之信

実験で明らかになった驚くべき効果

心理学者のチャルディーニらは、次のような実験で、ドア・イン・ザ・フェイス・テクニックの効果を確かめている。

まず、実験者はボランティアを装い「これから非行少年たちを動物園に連れて行くのだが、2時間ほど手伝ってくれないか?」と学生に依頼した。その結果、17%の学生がこの依頼を承諾した。

次に、この依頼の前にもっと大きな依頼をしたらどうなるかを調査した。実験者は、まず「2年間にわたり毎週2時間、非行少年たちのカウンセラーをしてくれないか?」と学生に依頼した。もちろん全員がこのやっかいな依頼を拒否した。

続けて実験者は、譲歩するかたちで「では、これから非行少年たちを動物園に連れて行くのだが、2時間ほど手伝ってくれないか?」と依頼した。結果、50%の学生が小さな依頼を承諾した。つまり、承諾率は3倍に跳ね上がったのだ。

営業の現場では・・・

セールスの現場でも、この心理テクニックはよく使われている。例えば、顧客に見積もりを出すときに、すこし値引きを押さえ気味にしておく。そして、顧客から値引きの要請があったときに、「譲歩して」本来予定していた金額まで引き下げるのだ。

この場合、最初の見積額が大きな要請で、二度目の見積額が小さな要請(本来の要請)というわけである。

最後にもう一度。あまり親しくない友人に1万円借りたいとき、あなたならどうお願いするだろうか。「1万円貸してほしい」と単純に依頼する?それとも・・・。

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【連載】説得と交渉の営業心理学
第1回 二度目は断れない
第2回 拒否させて譲歩する

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