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お別れの挨拶・言葉にベストな表現法と例文・ポイントまとめ

お別れの挨拶の言うタイミングは、就職、転職など様々です。社会人の場合、お別れのシーンで同僚や部下を送り出す機会があるかもしれません。一緒に過ごした時間がいい記憶なる別れの挨拶をしたいもの。そこで3ステップで作る自分らしい別れの挨拶の例文やコツをご紹介します。

藤田 尚弓

執筆者:藤田 尚弓

話し方・伝え方ガイド

別れの挨拶・言葉が人との思い出を書き換える?

感謝を伝える別れの挨拶

感謝を伝える別れの挨拶

人の記憶は思っているより曖昧です。
  • 他者の発言や質問によって記憶が違ったものなってしまう
  • 間違った記憶を実際に起きたことだと勘違いしてしまう
こういった現象が起きることは、皆さんもご存知のとおり。事例も枚挙にいとまがありません。参考までに歴史に残る、有名な記憶違いをいくつか見てみましょう。

1993年、イギリスで聖職者が青年に「性的虐待を受けた」と訴えられる事件がありました。調査の結果、青年の記憶違いであることが判明。記憶違い訴訟として有名になりました。

2008年、ヒラリー・クリントンさんが演説で「ボスニアを訪問では、銃火が飛び交う中を着陸し、歓迎式典もなかった」と発言しました。実際の映像ではヒラリーさんは笑顔で出迎えを受けており、後に「記憶違いだった」と釈明しています。

これらは極端な例ですが、小さな記憶違いというのは私たちの周りでも日常的に起きています。特に会話は記憶をいい方向にも悪い方向にも変えてしまうほどの影響力を秘めています。送別会や別れのシーンで、なにげなくした会話が思い出に影響を与えるということもあるでしょう。

自己紹介などの第一印象に気を配る人は多いのに、お別れの挨拶に関して準備をする人は少数派です。どのような点に気をつければいいのか、この機会に、お別れの挨拶について考えてみましょう。
 

お別れの挨拶・言葉の選び方で退職後も良い印象を残すことができる

記憶に関する研究をしているEndel Tulvingさんは、相手の質問によって、思い出される内容が変わってしまう(記憶違いを起こす)ことを報告しています。

皆さんはお別れのシーンで、どんな質問をしているでしょうか?例として、職場の送別会での会話を思い浮かべてみましょう。

「A社のクレームは大変だったよね」
「一番辛かった思い出はなんですか?」

こういった送別会の定番とも言える話題も、ちょっとした言い換えをしたいところです。

「A社のクレームも無事におさめることができてよかったですよね」
「克服して誇りに感じた思い出はなんですか?」

言葉遊びのように見えるかも知れませんが、印象が変わることを感じていただけたのではないでしょうか。

筆者は、送別会の時に「一番頑張ったことはなに?」と聞かれたことがあります。答えを考えるうちに、「イヤな思い出」だとタグ付けしていたことが、「成長の機会」というタグに変わるという体験をすることができました。あの質問のおかげで、その人と過ごした何年間かの思い出が辛いものから、よいものに変わった気がして、今でも感謝しています。

お別れのシーンでの会話って大事ですね。では、どのように会話を構築すればいいのか。
 

退職後も心に残る「別れの挨拶」最高のスピーチに必要な3ステップ!

最適な別れの挨拶はシーンによって異なります。

学校を卒業するといったお別れなのか、転職やリストラといった職場のお別れなのか、恋人とのお別れなのか、送別のスピーチなのか…etc  

気持ちがこもった別れの挨拶にするためには、シチュエーションや相手との関係によって、自分らしい言葉を選ぶことが重要です。さまざまなケース応用できる、3ステップの構成法をご紹介しますので、挨拶を考える時の参考にしてください。
 

ステップ1:お世話になった人々へのねぎらいの言葉

これまでの功績、貢献などについて触れます。お別れスピーチなどの場合は特に、この部分を多くするといいでしょう。

<例文>
あのプロジェクトが成功したのも、課長の粘りがあったからですよね。あの状態からひっくり返すなんて、他の人ではできなかったと思います。

<例文>
いつもお茶を入れてくれたり、掃除をしてくれたり、和ませてくれたり。○○ちゃんの笑顔のおかげで、いつもみんなが頑張れたよね。

これといった功績が見つかりにくい人の場合「勤続20年」「○○だったら△△さん」といった部分を探してください。

それすらも思い浮かばない場合は、
  • 縁の下の力持ち
  • 職場のお母さん的存在
  • 空気清浄機のような人
といった曖昧なフレーズで「ねぎらい」を表現してみてはいかがでしょうか。
 

ステップ2:仕事中の心に残った出来事などを感謝の言葉で

過去にしてもらったことに対して、感謝の気持ちを述べます。「表面的」「社交辞令的」な挨拶にならないようにするコツは、お別れ&お礼の言葉の前に、心に残るエピソードを入れ込むことです。

<例文>
別の道を選ぶことになってしまったけれど、キミには感謝の気持ちでいっぱいなんだ。就職に失敗した時、ケガをした時、落ち込んでいた時……キミが親身になって支えてくれたことは一生忘れないよ。本当にありがとう。

<例文>
誰よりも早く出社して仕事をされていた部長の後姿を見て、私達もヤル気になることができました。本気でやると仕事って楽しいものですね。部長、本当にありがとうございました。

お礼の前に心に残ったエピソードを加えるだけですが、真心が伝わりやすくなるのがおわかりいただけると思います。エピソードを加えるという方法は、褒める時、叱る時など、気持ちを伝えたい場面全般で使えるテクニックですので、覚えておくと応用がききます。
 

ステップ3:ポジティブな応援コメント

新しいステージでの活躍を期待し、応援するコメントを添えます。

<例文>
先輩なら、どこに行ってもリーダーシップを発揮して成功すると思います。ご活躍、心からお祈りいたします。

<例文>
海外勤務だなんて、うらやましいな。大変なこともあるかも知れないけど、1回りも2回りも大きくなって帰ってくるんだろうな。何か必要なものがあったら送るから、いつでも連絡しろよ。

リストラ、左遷、恋人に自分から別れを切り出す時……。こういったデリケートなケースの場合では、応援コメントが嫌味にならないように注意してください。具体的には、多くを語り過ぎない、ボカしをいれた表現を使う、本人が話したいような話題に切り替えるといった気配りをするといいでしょう。

気持ちを伝えるには、よくある別れの挨拶をコピペするよりも、自分らしい言葉を選ぶのがコツ。3つのステップを参考に、相手との関係性を考えながら考えてみてください。お別れのシーズンが、皆様にとってよきものになりますように。

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