文章:西村 吉郎(All About「転職のノウハウ」旧ガイド)

退職の手続きのなかで最も重要なのが残務整理・業務の引き継ぎです。ここをいい加減にすると、会社に大きな迷惑をかけるだけでなく、退職後もことあるごとに電話で問い合わせされたり、ときには呼び出されて処理に当たるよう求められることにもなりかねません。完璧な残務処理のポイントを押さえておきましょう。

引き継ぎのスケジュールを立てる

まず最初にするべきことは、業務引き継ぎの作業計画を立てることです。とりあえず片づけなければならない仕事がいつまでかかるのか、備品や資料の整理にはどのくらいの期間が必要か、後任者と一緒に仕事できるのはいつからか、取引先への挨拶、上司への報告などをいつまでにすませるかなどを時間の配分を考えながらまとめていきましょう。

このスケジューリングでのポイントは、退職日より少なくとも3日ほど前にすべての残務整理、業務引き継ぎが完了するよう組むことです。3日もあれば、突発的なトラブルなどで計画に狂いが出ても調整することが可能だからです。予定はあくまでも予定として、余裕を持ったスケジュールを立てましょう。

なお、実際の残務整理、引き継ぎ作業は、上司に退職の意思表示をし、退職の承認が得られてから行うことになりますが、転職を決意したときから少しずつ備品や資料の整理を始めていけば、無理なく効率のいい残務処理が可能になります。

引き継ぎ事項をノートに文書化する

引き継ぎ事項はできる限り文書として残すことが肝心です。文書として整理することで、引き継ぐべき必要事項の見落としを防止できると同時に、後任者への伝達ミスも防げます。後任者にとってはそれが退職後もマニュアルとして利用できるでしょう。

引き継ぎノートは、たとえば営業職なら顧客別にリストをつくり、定期的に納入すべき商品などの契約内容や、フォローすべき事項などを項目立てて整理すると見やすくなる。取引先の担当者の特徴や性格、趣味、家族構成などのパーソナルデータも知り得た範囲で付け加えておくと重宝がられることでしょう。

技術職の場合はとくに、それまで携わってきた製品に関する資料や機材引をしっかりと引き渡すことも重要になります。図面、設計書、仕様書はもちろん、検査要領書、資材表なども製品ごとに整理して保管するとともに、それらの所在について、たとえば「資料・備品類保管一覧表」といった形でリスト化しておくといいでしょう。

少なくとも1週間は後任者と一緒に仕事を

いくら完璧な引継ぎノートを作っても、実際に仕事してみないとわからないことも少なくありません。そこで、少なくとも1週間は後任者と一緒に仕事する機会をつくれるよう、上司と相談しましょう。

とくに、コンピュータソフトや製品開発などの技術職では、製品の設計者個人の価値観やものの見方が関係するため、その技術者が何をどう作ろうとしているのか受け継ぐことがむずかしいといわれます。だからこそ、あとは後任者とマンツーマンでじっくり時間をかけて、引き継いでもらう必要があります。

ただ、業務を引き継ぐ後任者はたいていの場合、同僚のうちの誰かになります。横すべりで新しい業務に就くことは少なく、とりあえずはいまの仕事を担いながら、それにプラスした仕事として業務を引き継いでいくことになります。したがって、引き継ぎでは、後任となる人の時間的な都合も考慮して、進めていかなければなりません。

1週間べったりというわけにいかない場合は、早め早めにお互いの仕事のスケジュールを調整して、時間の都合をつけてもらうことが必要です。