転職のノウハウ

「先ほども言いました通り……」は要注意。無意識の表現で他者評価を下げている人の「話し方のクセ」

面接で「自分の強み」をうまく相手に伝えられない人は、自分の強みを話す際に必要以上に謙虚になりすぎてへりくだった表現をした結果、相手から自信がない人だと思われていることがある。「話し方のクセ」で、評価を下げている人の特徴について、人材コンサルタントが解説する。

小松 俊明

執筆者:小松 俊明

転職のノウハウ・外資転職ガイド

面接する人のイメージ

面接での自己評価に実際の結果が伴わない人は、無意識のうちに印象を下げる表現をしているかもしれない

面接官から「自分の強み」を聞かれたとき、あなたはどう答えているだろうか。うまく相手に自分の強みを伝えられない人は、自分の強みを話す際に必要以上に謙虚になりすぎてへりくだった表現をした結果、相手から自信がない人だと思われていることがある。「話し方のクセ」で、評価を下げている人の特徴について、人材コンサルタントが解説する。
 

へりくだった表現は「謙虚さ」よりも「自信のなさ」に聞こえる

日本人は「謙虚さ」を美徳と考えるところがあり、その謙虚さは他人に好印象を与えるのに役立つことが多い。一方、自己アピールすべき面接の場で、へりくだった表現を使って謙虚さをアピールすることは、実はとても難易度が高く、避けたほうが無難だ。

しかし、難易度が高いにもかかわらず、面接時にへりくだった表現を使用する人は多い。これは意識してへりくだっているというよりも、むしろ日頃からの「話し方のクセ」で無意識に、ついへりくだった表現をしてしまい、そのままアピールにつなげることに失敗している場合も多い。

例えば、相手から聞かれてもいないのに、自己否定から話を始めるパターン。強みを聞かれたのに、「本来コミュニケーションが得意ではないのですが……」と言ってみてから、後に話を続ける話法である。本人としては、そのあとに展開する話で盛り返すことを考えているわけだが、他人の耳には「コミュニケーションが得意でない」という言葉が残る。

「人とコミュニケーションを取るのが得意である」と言ってから、そこに説得力を持たせるエピソードを話したり、実際にその場で面接官と良好なコミュニケーションを取ったりすれば、十分に自分の強みは伝わるのに、なぜ「本来コミュニケーションが得意ではないのですが……」という前置きをしてしまうのだろう。

本当に苦手だと思っているのか、苦手を克服するために努力しているという後に続く話の部分をアピールしたいのか……話を複雑で分かりにくくしてしまうため、このようなクセがある人は注意した方がいいだろう。謙虚さは、それが不要な場でアピールしたときには、他人の目に「本人の自信のなさ」として映るため、リスクがある。
 

「先ほども言いました通り」を繰り返す人は面接で誤解を受けやすい

なぜ人は「先ほども言いました通り」と言ってしまうのだろう。世代に関わらず、言う人は口癖のように多用している。気をつけないと、普段あまり言わない人でも、そのときの心理状態や会話の相手次第では、つい使ってしまう話法である。

「先ほども言いました通り」という表現は、同じことを繰り返し言うときについ口に出てしまう言葉で、話し手の意図としては「同じことを繰り返し言うことを、前もって断っておきたい」という心理である場合もあるし、中には「繰り返し言っていることを強調したい」場合もあるだろう。先ほども言ったことを繰り返すのが申し訳ないという心理が含まれる場合もあるが、どちらかというと、「先ほども言ったけど」「もう一回言いますよ」というような、少し慇懃無礼(いんぎんぶれい)な印象を相手に与えることが多い。

では面接の場で、面接官からの質問に対して「先ほども言いました通り」と言ってしまうシチュエーションとは、どんな場合だろうか。前に話した話と関連づけて話したい、つまり前の話の一部を引用して次の話を進めたい、そのようなときに「先ほども言いました通り」という表現を使うのだろう。

例えば面接官から「あなたが苦手を克服した経験を教えてください」と聞かれたら、強みで話したコミュニケーション力について関連させて、「先ほども言いましたように、私の強みはコミュニケーション力にあるのですが、実は本来コミュニケーションは苦手でした。しかし、営業部で顧客対応の仕事を長年してきたことで、自分の苦手分野を克服することができました」などと答える場合である。この場合はうまく話がつながり、面接官の理解は深まるかもしれない。

一方、「先ほども言いました通り」と面接を受けている人が言ったとき、「また同じ話を繰り返すのか」「理解してないとでも思っているのか」など、面接官が相手に対してネガティブな感情を持つ場合もある。たいした意味を含まずに口癖のように使用している場合は、必ずしも「先ほども言った」との断りをあえて相手にしなくて済む話法に切り替えたほうが、面接のような「相手から評価を受ける場」では無難かもしれない。
 

想定問答準備にも注意点

面接のやりとりは、特別なシチュエーションの下で交わされるコミュニケーションである。しっかり準備した、言いたいことも言えたなど、面接パフォーマンスへの自己評価は高いのに、結果が伴わないことが多い人は今一度、自分が以上のような表現を無意識のうちに使っていないか確認してみてほしい。

また、面接官の質問を想定して、事前に答えを用意している人も多いはずだが、それを一字一句間違えず言えるように事前練習するのはあまりおすすめしない。緊張のあまり一部の記憶が飛んでしまい、言うべき内容や言う順番を間違え、それにショックを隠し切れなくなる人やパニックになる人もいるし、仮にうまく理想的な自分を演じ切って言いたいこともすべて完璧に言いきれたとしても、その完璧さは、他人から見れば不自然に映る。よって予想よりも低い評価になることも少なくない。

想定問答はあくまで自分の考えを整理するための事前準備と捉えておいたり、先述した、知らぬ間に他人からの評価を下げている話法を使わず自己アピールする言い方を練習するために使ったりする程度に留めておくといいだろう。
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