可能性、未来に向けて話し、聞き合おう!著者の一人・中島氏はコーチングを学び、仕事に生かし続ける現場のサラリーマン「話し合い」「聞き合い」をするといっても、何をどうやって話し、聞けばいいのでしょう? ここでも大事になってくるのが、コーチングの基本である考え方、「クライアントはもともと完全な存在であり、自ら答えを見つける力を持っている」(The client is naturally creative, resourceful and the whole)です。。クライアントを「企業」と読みかえれば、全く同じことが言えます。企業を何か問題を抱えて修正する必要がある存在とみなすのではなく、それ自体が可能性を持ち、力のある存在としてかかわっていくのです。具体的にいうと、二つの異なる企業が一緒になって実現できる可能性、未来に目を向けて、話し合い、聞き合っていくのです。ついつい、企業合併によって予想される問題点に目がいって、それを予防、修正しようとしがちですが、そうすると人はちぢこまってしまい、本来の可能性が引き出せなくなってしまいます。また、社員それぞれの力を発揮していくために、社員同士でも「仕事のやりがい」「充実感を感じたとき」「成功体験」を話し合い、聞き合うことが効果的です。泥臭く「組織開発」していこう!右上に紹介した書籍・『私が会社を変えるんですか?――AIの発想で企業活力を引き出したリアルストーリー』(本間正人・中島崇昴著 日本能率協会マネジメントセンター)は、実際に合併会社の人事部・人事開発室長として組織開発に取り組んだ著者の生の体験をベースにしています。外部のコンサルタントを活用しての失敗体験や、そこから学んだ活用のコツ、コーチングや組織開発に特化した手法・AI(Appreciative Inquiry)の解説や具体的な使い方がふんだんに盛り込まれています。そこで提唱されているのが、「組織改革」ではなく「組織開発」を目指すこと。「組織改革」とは、「組織の中の問題、時代や社会とのズレを正し、社員間の意識を刷新して行動の変化に結び付けていく試み」。つまり、問題解決型の発想です。一方、「組織開発」とは、「それまで見過ごされてきた会社の潜在能力を文字通り『開発』し、そこを集中的に強化していく試み」。つまり、コーチング型、未来創発型の発想です。組織を「改革」しようとした時点で、問題解決のワナにはまっていることに気づきましょう。そのときに大事なのが、「キレイ」から「泥臭さ」への転換。キレイな分析・論理に流れていたら要注意です。『私が会社を変えるんですか?』には次のように書かれています。「風土革新プロジェクトは、まとまらない言葉で、一見本題と関係のないような話を、メンバーや社員が延々と語る……、まさに泥臭く地を這うような道のりです。」「自分たちが本気で変わろうとするときに必要なのは、『心』という『キレイでない混乱したもの』であるということです。」「この混沌を、恥や見栄やプライドをいったん捨ててさらけ出し合うことが必要なのです。」結局は企業という組織も人。企業合併にもコーチングの考え方が使えます。そして、そこに必要なのは「泥臭さ」なのです!【参考書籍】■『私が会社を変えるんですか?――AIの発想で企業活力を引き出したリアルストーリー』(本間正人・中島崇昴著 日本能率協会マネジメントセンター)■『Co-Active Coaching: New Skills for Coaching People Toward Success in Work And Life』(written by Laura Whitworth, Karen Kimsey-House, Henry Kimsey-House and Phillip Sandahl Davies-Black Publishing) 【関連サイト】■【組織開発ファシリテーターの手記】■ヒューマンバリュー・AI解説■AIコンサルティング・AIの特徴【関連記事】■会議やデートで戦ったり、我慢して疲れていませんか? 迎合せず対抗しない男の質問術 ■ソリューション・フォーカスアプローチに学ぶ 1 問題ではなく解決に焦点を当てる ■会議で戦うのはもうやめよう! ■こうすれば経営理念は共有できる! 【編集部おすすめの購入サイト】Amazonでコーチング関連の書籍をチェック!楽天市場でコーチング関連の書籍をチェック!前のページへ12※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。