三越と伊勢丹。カラーが全く違う百貨店同士の経営統合など、いまや企業合併は特別なことではありません。数多くの失敗事例が語られる企業合併ですが、これを成功させるにはどうすればいいのでしょう?


《CONTENTS》●企業合併は結婚と同じ(1P目)●「話し合い」・「聞き合い」は必要不可欠(1P目)●可能性、未来に向けて話し、聞き合おう!(2P目)●泥臭く「組織開発」していこう!(2P目)

企業合併は結婚と同じ

仕事の言葉もやり方も違う二人はどうすれば結ばれる?

グローバルな競争がますます強まり、それに加えて人口減少という国内市場の縮小が起こる中、多くの企業がさらなる効率化、競争力強化を狙い、合併を進めています。

たとえば、銀行、証券といった金融業界。ここ15年ほどの間に一気に合併が進み、元の会社をたどるのに苦労するほどです。また、百貨店やスーパーといった流通業界でも合併が進み、昨年は三越と伊勢丹の経営統合が発表されました。いまや、企業合併は業界を問わず起こっています。

そして、大企業はその傘下に多くの子会社を抱えています。親会社の合併に伴って、それら子会社の合併も当然ながら伴います。ある大きな企業合併の裏にはさらに数多くの合併が生まれているのです。

よく、企業合併は「結婚」にたとえられますが、まさに生まれ育った環境が違う人同士が同じ屋根の下で暮らすことになるわけです。老舗の三越やファッションの伊勢丹の店の違いをみればわかるように、そこでは使われている言葉、表現方法、大事にしている価値観などは違っています。

多くの結婚に見られるように、最初の甘いハネムーン期間が終われば、あとはお互いにとって、異なる人間を受け入れるという挑戦の期間が始まります。その過程は楽なものではありません。実際、華々しく発表された企業合併が、結局は失敗してしまう例はたくさんあります。さて、合併した企業が「離婚」することなく、幸せな結婚生活を営んでいくことはどうやったらできるのでしょう?

「話し合い」・「聞き合い」は必要不可欠

先日、合併作業を進めている途上の、外資系企業と日本企業の経営幹部が集まった会議に居合わせる機会に恵まれました。そこでは、両者の経営幹部が一堂に会し、最初の協働作業として合併に向けた施策の作成が行われました。

しかし、会議の最初はピリピリしていました。慣れ親しんだ同じ会社の人とコソコソ話すばかりで、一向に打ち解ける気配はありませんでした。施策を議論するときにも、お互いの意見はぶつかりました。一方の外資系企業の幹部は合併施策に短期の営業強化策を盛り込むことを主張しましたが、もう一方の日本企業の幹部はそういった営業強化策は合併施策としては入れるべきではないと反論し、一時険悪なムードが流れました。

そのムードを変えたのが、社外のファシリテーターが投げかけた、「それによって何を実現したいのですか?」という質問。この質問にお互いが答え、それぞれの意見の奥にある思いを聞き出されていきました。

短期の営業強化策を主張する幹部は、合併プロセスに力を殺がれて営業現場にサポートがいかなくなるかもしれないこと、その結果、売上げが落ちれば合併どころではなくなることを懸念していました。反論していた幹部は、同じ懸念を持っていたものの、それはそれぞれの営業トップがなんとかするものだと思っていたのでした。

そうして、お互いが話し合い、聞き合う中で、理解が進み、対立は解消されていきました。これはシンプルな方法ですが、なかなか起こりにくいものです。使っている言葉や表現方法が違うため、その奥にある思いにいく前に、表面的なところで反発が起こってしまうからです。まずは、「話し合い」「聞き合い」が必要不可欠です。

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