最大のポイントは、視点を見つけること
部下をさまざまな視点で見てみよう! |
「視点の持ち込み方によって、整理の方向性は全くといっていいほど変わってきます。」
たとえば、キリンの発泡酒・極生の場合、佐藤氏は「マクロの視点」を持ち込みました。つまり、商品そのものを見つめることから、発泡酒全体の状況へと視点をグッと引くことで、「無理にビールに似せようとしていた」という発泡酒全体が陥っていたことに気づいたのです。
また、明治学院大学のブランディング・プロジェクトでは、「反対の視点」を持ち込みました。「地味で存在感がない」というマイナスイメージを、反対のプラス視点から眺めることで「控えめだけど芯が強い」という校風として打ち出していきました。
さて、あなたは部下をどんな視点で見ているでしょう? さらにどんな視点が考えられるでしょうか?
答えは目の前にある!
佐藤氏は情報、思考の整理のための次のようなポイントを挙げています。・ 視点を引いて客観視してみる
・ 自分の思い込みをまず捨てる
・ 視点を転換し、多面的に見てみる
・ 自分や相手の考えを言語化してみる
・ 仮説を立てて、恐れず相手にぶつけてみる
・ 他人事を自分事にして考える
最初の3つの視点に関するポイントをはじめ、詳しくは『佐藤可士和の超整理術』を読んでいただければと思いますが、これらは上司が部下の可能性を引き出していく際の大きなヒントにもなります。
「自分や相手の考えを言語化してみる」というのは、相手の話を聴き、自分の考えを伝えるコミュニケーションそのものです。また、「仮説を立てて、恐れず相手にぶつけてみる」のは、「仮説」というのがミソです。上司はついつい自分の考えや意見にこだわりがちですが、それはあくまで「仮説」です。それをぶつけることは自由ですが、ぶつけた後の相手の反応をしっかりととらえて、部下と一緒に「仮説」をよりよいものにすることが大事です。
最後の「他人事を自分事にして考える」は、対象と自分との接点を見つけること。佐藤氏は「対象と自分との接点に近づいていくことでリアリティが生まれる」といいます。さて、上司であるあなたと部下との接点とは何でしょう?
あなたと部下には必ずある1つの接点があります。それは2人共「人」であるということ。当たり前のことですが、あなたと同じように「人」として部下も何らかの思いを持っています。まずはそこにある自分と相手との接点を感じながら、部下の思いを整理していきましょう。
著書の最後で佐藤氏は次のように述べています。
「もう一度、述べさせてください。問題解決のための手がかりは必ず、対象のなかにあります。優れた視点で対象を整理すれば、解決に向けての方向が明確になる。答えは目の前にあるのです。」
まだ粗削りかもしれませんが、あなたの部下は光り輝くダイヤの原石です。佐藤氏がさまざまな商品、企業の魅力を引き出していったように、あなたも部下のアートディレクターとして、部下をどんどん輝かせていきましょう!
【参考書籍】
■『佐藤可士和の超整理術』(佐藤可士和著 日本経済新聞出版社)
【関連記事】
■コーチングは名作と一緒――感動を呼ぶ名映画監督になろう!
■あなたも1人のピン芸人。ギター侍・さんまに学べ!――相手の話を輝かせるツッコミ術
■あなたの直感が相手の力や可能性を引き出す!――占い師に学ぶ直感活用術
■コーチングの基本を知ろう!2――コーチはタクシーの運転手です
■相手を思い浮かべていては相手の立場になれません――相手の気持ちをつかむ視点転換法