「相手の話は中断してはいけない」。コミュニケーション研修などでよく伝えられる聴き方です。しかし、相手の話を本当に聴くためには、相手の話をむしろ中断したほうがいいのです。「相手の話を中断しなさい!」。中断することの意味、そのコツをお伝えします。

《CONTENTS》●「部下の話は中断してはいけない!」って、本当?(1P目)●黙っているから相手の話を聴いているとは限らない(1P目)●相手も「話を止めてほしい」と思っている(2P目)●中断するから相手の話を最後まで聴ける(2P目)

「部下の話は中断してはいけない!」って本当?

上司はついつい部下に一方的に話をする

「これからは部下の話を最後まで聴きます」

コーチング・ワークショップに参加した管理職の多くが口にされる言葉です。

部下との話し合いにおいて、ほとんどの管理職が一方的に話をしています。上司が話している時間と部下が話している時間の割合は、おそらく8:2もしくは7:3ぐらいでしょうか。それがコーチングを学ぶ中で、話を聴くことでいかに相手の可能性が引き出せるかを知り、もっと部下の話を聴こうと決意されるのです。

しかし、そこでよく陥るワナがあります。それは「部下の話を中断すべきでない」と思い込んでしまうことです。

「あれっ?」と驚いた人も多いでしょう。なぜなら、「相手の話を中断しないで最後まで聴く」ことは、コミュニケーションや聴き方の基本としてよく伝えられている考えだからです。

実は相手の話を“本当に聴く”ためには、あえて「部下の話を中断する」ことが必要なのです。

黙っているから相手の話を聴いているとは限らない


「部下の話を中断すべきではない」と思い込むと次のようなことが起こってしまいます。

一所懸命、部下の話を聴いている上司。しかし、話を聴いているうちにだんだんと心の中はイライラして、聴こえているのは部下の声ではなく、上司自身の声

「この部下は結局何を言いたいんだ?」
「こいつ、まったくわかっていないなあ」などなど。

心のなかでは自分の声が一杯で、部下の話を聴くどころではありません。確かに、これまでと違って部下はたくさん話をして、上司が話す割合は減りました。でも、上司は部下の話を本当には聴けていません。

その結果、「これだけ話を聴いてやったのだから」と、部下が話し終わるやいなや、それまでためてきた自分の思いを一方的に話し、以前より部下との関係が悪化する。「やっぱり、部下の話を聴いても意味がない」と早とちりして、従来のパターンに逆戻りする。こんなことが起きる可能性があります。

「そうはいっても、中断すると部下が話をしたくなくなるのでは?」と思うかもしれません。実は、部下も話を中断されることを求めているのです。

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