心のスペースが自然と広くなる
マンダラートは仕事のあらゆるテーマに活用できる |
今泉:会議にはいろいろな考えの人が集まっています。いきなり一つの考えにまとめようと思ってもぶつかるだけです。まずはいろいろな考えを受け入れることが大切です。
――確かにそうですが、頭ではわかっていてもついつい自分の意見と違うと否定したり反論してしまいますが……
今泉:だからマンダラートなんです。お題目のように「相手の意見をいったん聴こう」「相手の意見も受け入れよう」なんて言っていても、なかなかできません。相手の意見を聴けない人、受け入れられない人は、心のスペースが狭いんです。マンダラートでいうと、周辺のマスが一つしかない状態です。マンダラートを使っていると、何かのテーマを考える際に、自然と空白のマスが8つ浮かんで、心のスペースができます。
――そろばんをやっていると、頭の中にそろばんのイメージができて暗算ができるようになるのと同じですね。
展開すれば核心が浮かび上がってくる
今泉:会議ではもともとの目的が議論しているうちにズレることがよくありますが、マンダラートでは中心にテーマが常にあるので、会議の目的を見失うこともありません。会議のときはマンダラートを書きながら参加すれば、自然と他の人の意見も聴けるようになり、的外れの意見を言わなくなります。
――ただ、会議は何かを決めることも目的の一つですが?
今泉:確かにいろいろな意見を出したり、アイデアを広げるだけでは意味がありません。だからこそ、マンダラートの「展開」だけではなく「収束」が生きてきます。いろいろ出てきた意見をテーマを中心に周辺のマスに並べて眺めてみると、それぞれの共通点、相違点が明確になり、そこから生み出される何かが中心に浮かび上がってきます。ただ、出てきた意見やアイデアを箇条書きに並べるのではなく、マンダラートのカタチで並べるだけで大きな効果があります。
――全員でマンダラートを書きながらやるとさらにいいかもしれませんね。
今泉:ホワイトボードやフリップチャートにマンダラートを書きながら会議を進めていくといいですね。今ならプロジェクターを使って、パソコン上のマンダラートを映しながら行うこともできます。それだけで会議は一気に変わるでしょう。
――マンダラートというとてもシンプルなシートによって大きな変化がありますね。仕事ができる・できないというのは、実はこんなちょっとした違いから生まれているのかもしれません。
今泉:本当にそうです。人はすぐにいろいろな知識や技法を求めがちですが、大事なのはちょっとした頭の使い方、意識の使い方です。とにかく、マンダラートをたくさん書いてみてください。「マンダラートの書き方を学んでから書こう」なんて思わずに、とにかく書いてみることです。
2回にわたってお届けしたマンダラート開発者・今泉浩晃さんへのインタビューはいかがでしたか?
さまざまなハウツー、技法があふれかえっていますが、要はどれだけ実践できるかです。実践するためにはマンダラートのようにシンプルであることが一番ですね。派手さはありませんが、いつでも、すぐに、どんなことにでも使えるマンダラート。今泉さんが言われるように、とにかく書きだしてみることです。
【参考書籍】
■『「成功」を呼び込む9つのマス』(今泉浩晃著 全日出版)
■『考具―考えるための道具、持っていますか?』(加藤昌治著 ティビーエスブリタニカ)
【関連サイト】
■マンダラートの公式サイト
■「9つのマスがあなたをパワーアップ!(1)」
■「手帳があなたの1年、さらには人生全体を左右する――手帳はあなたの名コーチになる!」