「あれもこれも」、とにかく挙げてみる
今泉:そうやって「ステップバック」しておいてから、「ステップイン」します。つまり、出てきたものの一つ一つに近づいて、より詳細に見ていきます。ただそのときに、多くの人は「あれだろうか? これだろうか?」と最初から一つに絞ろうとしがちになりますが、とにかく「あれもこれも」と、広げる余裕を持つことが大事です。
――そこでもマンダラートを使うわけですね。
今泉:そうです。例えば、「企画の目的」について「ステップイン」して考えるとしましょう。またマンダラートを取り出して、真ん中のマスに「企画の目的」と書いて、周りのマスに思いつくままに書いていきます。8つあるわけですから、まずは思いついたことを書いてみる。そして眺めてみる。するとそれぞれのマスの関連が見えてきたり、優先順位がわかってきます。
――マンダラートの場合、今考えていることが真ん中のマスにあり、問いがブレないので集中して考えられます。
今泉:マンダラートと向き合うことは自分自身に向き合うことでもあります。「自分にとっては?」「自分はどう考えるのだろう?」といったことが、常に問われているわけです。
――まるで人から質問されるのと同じような効果がありますね。また、周りの空白のマスが考えるスペースというか、答える余裕を与えてくれるので、答えるのもしっかりと待っていてもらえるような……。セルフコーチングなんていわれますが、このマンダラートを使えばある程度可能な気もします。
今泉:そうですね。またマンダラートは個人の思考ツールとしてだけでなく、グループでの思考ツールとしても有効です。例えば、会議などにこれを使うことができます。
――ここ最近、会議のやり方についての関心は高まっていますから、それはとても興味深いです。次回はそれについて教えてください。(続きは次回記事に掲載します)
たった9つのマスからできているだけの「マンダラート」。いかがだったでしょう? その力は実際にやってみないとわかりません。ぜひお手元の紙に9つのマスを書いて、真ん中にあなたが気になっているテーマを書いてみてください。
例えば、いまかかわっているプロジェクト、気になっている人、今年の目標、今度の休日の過ごし方、さらにはあなたの人生といった大きなテーマでもいいでしょう。まずは、思いつくまま周辺のマスを埋めていきましょう。
そして、何か気になる言葉やテーマがその中で出てきたら、それをまた新しいマンダラートの真ん中のマスに書いて、さらに広げてみてください。たったそれだけで自分の頭がクリアになったり、いろいろな気づきが生まれるのを体験するでしょう。
それではインタビューの第2回もお楽しみに!
【参考書籍】
■『「成功」を呼び込む9つのマス』(今泉浩晃著 全日出版)
■『考具―考えるための道具、持っていますか?』(加藤昌治著 ティビーエスブリタニカ)
【関連サイト】
■マンダラートの公式サイト
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