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ソリューション・フォーカスアプローチに学ぶ 1 問題ではなく解決に焦点を当てる(2ページ目)

心理療法で画期的成果を上げた新しい考え方が、ビジネスで大きな注目を集めています。この考え方のポイントをソリューションフォーカスコンサルティング代表の青木安輝さんに2回にわたってインタビューします。

宇都出 雅巳

執筆者:宇都出 雅巳

コーチング・マネジメントガイド


問題に焦点を合わせない

「なんと、従業員全員がゴーグルを着用するように! 解決したのはなぜ?」
青木:そんなとき、ソリューション・フォーカス・コンサルタントが工場に呼ばれて、会議に出席しました。そして、これまでの原因分析については何も聴かずに、次のような質問しました。

「それで、みなさんお望みのゴールは何ですか?」

それに対して、会議の参加者は口々に「もちろん、従業員がゴーグルを着用するようになってもらいたいってことですよ」と答えました。

さらにソリューション・フォーカス・コンサルタントはたずねました。

「では、従業員はどうやったらゴーグルを着用するでしょう?」

これに対して、会議の参加者からいろいろな意見が出ました。

「それについてこれまでいろいろな原因が洗い出してきたんですよ」
「それがわかったら苦労しません」
「管理職がしっかりしていないからです」
「従業員の意識の問題でしょう。そこに手をつけることです」

コンサルタントはさらに繰り返し、たずねました。

「もう一度聞きます。従業員はどうやったらゴーグルを着用するでしょう?」

解決に焦点を合わせ続ける

そのとき、だれかが言いました。
「もっとかっこいいゴーグルなら、喜んで着けるんじゃないの?」

この発言に対して、ほかのメンバーからは笑いがもれましたが、コンサルタントは「それ、いいんじゃないですか?」と言いました。

その後、ゴーグルをかっこいいミラーのサングラス風デザインにしたところ、従業員は全員喜んで着用するようになったのです。何しろイタリアですからね(笑)しかも、必要ではないときも、着けるようになったそうです(笑)。

――なるほど。従業員や管理職の「問題」はそのままで、『問題』は解決してしまったわけですね。とはいえ、ゴーグルのデザインという問題を見つけて、それを解決したと言えるような気もしますが……。
青木:そこは微妙ですけどね、「どうしたらゴーグルを着けるか」という解決志向の質問への答えとして出てきたわけで、「なぜゴーグルをしないのか」という原因追求型の質問が投げかけられている時は出てこなかった発想ですね。

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