コーチング/人材育成・組織作り

「上司の悩み」解決シリーズ1 「部下に意見したい」病を治す!(3ページ目)

「相手の中にある答えを引き出す」コーチング。上司のアドバイスや意見はしないのが基本です。とはいえ、部下の話を聴いていると、ついつい自分の意見を言いたくなってしまう……。そんなときにはどうすれば?

宇都出 雅巳

執筆者:宇都出 雅巳

コーチング・マネジメントガイド

処方箋1・だれの話を聴いているかに気づく

意見を言いたくなったら2つの処方箋
相手の話が聴けなくなる悪循環、イライラの爆発を抑えるために、まずできる処方箋の一つめはこれです。

「自分が今、だれの話を聴いているかに気づくこと」

あなたが聴いているのは部下の話でしょうか? それとも、自分自身の話でしょうか? もちろん、理想は自分自身の話ではなく、部下の話に意識を向けて聴いていることが重要です。でも、「意見が言いたくなっている」というのは、すでに自分自身の話を聴いている状態です。それを無理に変えようと思うと、また悪循環にはまります。

「自分は今、だれの話を聴いているんだろう? 自分自身の話を聴いていないだろうか?」

まずは自分がどちらの話を聴いているかに気づくことから始めてみてください。

処方箋2・意見を言って、それを手放す

もう一つは、我慢するのではなく、いっそのこと「意見を言ってしまう」ことです。もちろん、ただ意見をいうのでは、相手の答えや可能性を引き出せないのでコーチングになりません。そのためには、2つのポイントがあります。

● 「私は……と思う・感じる」と、自分の意見であることを明確にする

● 意見を伝えた後、「おまえはどう思う?」と自分の意見にこだわらない

上司が部下に意見を言うときのことを思い浮かべてください。上記の2つのポイントを大きく外していることが多いのに気づくでしょう。よく見られるのは、

●「おまえは○○だから……」「営業とは□□だから……」といった、断定・決め付け

●「○○したほうがいい」「□□しなさい」と、自分の意見に従うことを求める

あなたはいかがですか?

上司の意見というだけで部下に対しては大きな力となり、部下の答えや可能性にフタをしかねません。上司は自分の意見が持つ力を自覚し、部下の答え・可能性をつぶさないことに気をつけることが必要です。せっかくの宝をみすみす捨ててしまうことは、上司にとっても部下にとっても不幸なことですから。

対症療法だけでなく体質改善するには?

「だれの話を聴いているかに気づく」
「意見を言って、それを手放す」


「どうしても部下に意見を言いたくなるんです……」ときには、上の2つの処方箋を思い出してみてください。

ただし、「部下に意見を言いたい!」という“症状”に対する対症療法に過ぎません。その症状を生み出している“体質”が変わらないと“症状”は出続けてしまいます。

その“体質”とは何でしょう? そして、それを変えるにはどうすればいいんでしょう?

「意見が言いたい!」病を根本から治すには? 次ページへ>>
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