コーチング/人材育成・組織作り

「上司の悩み」解決シリーズ1 「部下に意見したい」病を治す!(2ページ目)

「相手の中にある答えを引き出す」コーチング。上司のアドバイスや意見はしないのが基本です。とはいえ、部下の話を聴いていると、ついつい自分の意見を言いたくなってしまう……。そんなときにはどうすれば?

宇都出 雅巳

執筆者:宇都出 雅巳

コーチング・マネジメントガイド

我慢しているあなたは聴いていますか?

「とにかく黙って最後まで話を聴く」場合はどうでしょう?

これは多くの上司が取られているパターンだと思います。このとき、上司のあなたには何が起きていますか? ちょっと振り返ってみてください。

実はこのとき、上司は部下の話を本当には聴いていません。聴いたフリをしているだけです。上司が聴いているのは自分自身の声なのです。部下の話ではなく、自分が自分自身にささやいている声のほうに耳を傾けてしまっています。

「またこんなことを言っている」
「こうしたほうがいいと思うけど」
「こいつは何もわかっていないなあ」

部下に対して意識が向かずに、自分の経験や価値基準に意識が向いて、そこに照らし合わせることのほうが多くなってしまっています。

こんな状態では、いくら表面上は黙ってよく聴いているように見えても、本当は聴けていません。その証拠に、上司から部下に対する質問がなかなか出てきません。もし出ていたとしても、まるで部下に尋問をしているような、情報収集のための質問ばかりです。

これでは、部下の中にある答えや可能性を引き出すことはできません。

我慢が重なって……。爆発する

さらに問題は、部下の話を我慢して聴いていると、だんだんとイライラしてくることです。イライラするというのは、自分自身の声を聴いている状態なので、ますます部下の話が聴けなくなってしまいます。

相手の話を聴いていなければ、その話に興味を持つということはとても難しくなり、ますます相手の話が聴けないという悪循環に陥ります。こうなったら、部下の話を聴くことは苦痛以外の何者でもありません。

そしてそれが臨界点に達したとき、我慢が爆発して、上司は意見を言いまくることになります。また、部下の話が終わったときに、ここぞとばかりに話始めます。「これだけ黙って聴いてやったんだから……」という思いがありますから、余計にやっかいです。

ではどうすればいいんでしょう?

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