一つ突き抜けていた龍馬の思考法
龍馬の思考法の特徴は、通常の枠を一つ突き抜けていたことです。先ほど紹介した薩長同盟を成立させたのは、薩摩藩、長州藩が藩レベルに止まっていたのに対して、さらにその一段上の「日本全体」という視点でした。そのほかにも、龍馬が一歩先を進んでいたこと、そして一回り大きかったことを示す話が伝わっています。(逸話その1)あるとき、龍馬が町で同志に会いました。その同志は流行の長い刀を差していましたが、龍馬は「実戦では短い刀のほうが使いやすい」といって、自分の短い刀を示しました。「なるほど」と納得した同志が短い刀に換えました。
次に龍馬に再会したときには、「もう刀の時代は終わった。」と懐から取り出した拳銃を見せられました。その同志は「さすがは龍馬」と感心し、すぐに拳銃を買い求めました。
そして3度目にあったときには、なんと龍馬が取り出したのは「万国公法」という国際法の書物であり、「もはや武器の時代ではない。これからは世界を知らなければならない」と龍馬は語りました。常に一歩先を行く龍馬にその同志は唖然としたといいます。
(逸話その2)大政奉還が行われた後、龍馬は京都の薩摩藩邸に新政府の草案を持って西郷隆盛を訪ねました。しかし、その草案の人事の中にはなぜか龍馬自身の名前はありませんでした。
不審に思った西郷が龍馬にたずねましたが、龍馬の答えは「政府の役人などはまっぴらごめんだ」という素っ気ないもの。
これに対して西郷が、「それなら、このあとは何をやるつもりだ?」とただすと、「さよう、世界の海援隊でもやりましょうかな」と言ったといいます。この一回り大きい龍馬の返答にはさすがの西郷も二の句が告げませんでした。
「一段上からは? 一歩先には? 一回り大きくしたら?」
このように、一段上に立ち、一歩先を行き、一回り大きなスケールで考えていた龍馬。あなたも今日から龍馬のように常識の枠から一つ突き抜ける思考法を身につけませんか?やり方は簡単です。自分に次のような質問を問いかけるんです。
「この問題は一段上に立って考えたらどうなるだろう?」
「今注目されているこれの一歩先は何なんだろう?」
「このテーマを一回り大きなスケールで考えたらどうだろう?」
こうして意識的に自分に問い続けることで、だんだんと意識しなくても、こういった視点で物事を見られるようになってきます。手帳に書いて、常に見るのも有効です。
「一段上からは? 一歩先には? 一回り大きくしたら?」
さらには、こんなシンプルな質問も意外と効果があります。
「もし自分が龍馬だったら、どうだろう?」
龍馬に限らず、あなたが参考にしたい人物の信念、思考パターン、行動パターンを調べて、こういった質問に置き換えて、自分がその人物になりきる練習をしてみてください。
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