コーチング/人材育成・組織作り

現有戦力を徹底活用した中日・落合監督に学ぶ 優勝に導いた「俺流」コーチング(4ページ目)

中日監督就任1年目で見事セリーグ優勝を果たした落合監督。現有戦力だけで優勝に導いた秘密は「俺流」コーチング。勝ち試合には選手を褒め、負け試合は自分を責める。そのコーチングにマネジメントの真髄を学ぶ。

宇都出 雅巳

執筆者:宇都出 雅巳

コーチング・マネジメントガイド


「俺流」コーチングは部下のほうを向いて話す。会社ではない。

「『良いコーチ』と言われたいのか、それとも『良いコーチ』になりたいのか」 (『コーチング』より)

会社の例で言い換えると、
「『良い上司』と言われたいのか、それとも『良い上司』になりたいのか」
あなたはどちらでしょう? 

それはあなたがどの方向に向いて話をしているかでわかります。 会社上層部のほうに向いて話していますか? 他部署に向かって話していますか?それとも部下本人に向かって話していますか?

どれが「良いコーチ」でしょう? もちろん、部下本人に向かって話している上司です。でも現実には、そんな上司は少数派です。プロ野球界でも同じようです。

「だが、本当に良いコーチ、良い指導者は、選手本人のことを一番に考えて、選手のほうを向いて話をしている。残念ながら、そういう人は現在のプロ野球界には少ない」 (『コーチング』より)

先日、巨人の清原選手が来季の戦力構想に関して、球団側との直談判に臨みました。堀内監督は、「向こうが会いたいのなら会うが。。」と直接会うことはありませんでした。堀内監督はどの方向を向いて話をしているのでしょう? そして、あなたはどの方向を向いて話をしていますか?

シーズン中、落合監督はピッチャー交代のとき、審判に交代を告げるだけでなく、必ずマウンドまで行って交代させられるピッチャーと話をしていました。その顔はいつも穏やかで、少しも責める風はありませんでした。

一般的には、ピッチャー交代のときには、監督ではなく、ピッチングコーチがマウンドに行きます。ピッチャー交代のときは多くの場合、点を取られたり、ピンチの時ですから、スタンドからの野次も厳しいものがあるそうです。しかし、だからこそ、落合監督はあえてマウンドに行くと言います。

「一番辛いときに、わざわざピッチングコーチを行かせることないでしょう。監督が引き受ければいいことです」。
優勝後、あるテレビのインタビューに落合監督は答えていました。

あなたは部下がミスをしたり、苦しい時にどうしていますか? 部下のほうを向いて話をしていますか?

「俺流」コーチングと現有戦力によるセリーグ優勝。これはあなたのコーチング、マネジメント、さらにはチームの目標達成に大きなヒントと確信を与えてくれるものです。まずは、部下をしっかり観察する、そして部下のほうを向いて話をする。このことから始めてみませんか?

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