文章:宇都出 雅巳(All About「コーチング・マネジメント」旧ガイド)
あなたは会議をするとき、机や椅子の並べ方を考えていますか? 会議でのプレゼンテーションも大事ですが、実は机や椅子の並べ方が会議の行方を大きく左右するのです。では、アイデアをたくさん生み出すにはどういう座り方がいいのでしょうか?
応接セットがもたらす緊張感
会議室が創りだす「場」とは? |
「ちょっと椅子と机の形を変えましょうか?」
『声に出して読みたい日本語』などの著作で知られる斎藤孝さんと対談したノンフィクション作家・山下柚実さんは、部屋に入ってきた斎藤さんのいきなりの提案に驚いたといいます。
対談が行われた応接室には、どっしりとした重たい椅子と机が、真四角に整然と置かれていました。その重たい椅子を動かして、やや斜めの角度に向き合うようにすると、あら不思議。応接室の中に充満していた緊張感が、ふっとゆるんだのです。
この体験の驚きとともに、山下さんはそこからの気づきをこう書いています。
「人と人との関係は、実はこうした具体的なこと――椅子の形や机の形、距離や並べ方などに大きく影響されるのだ。私たちがふだんはあまり自覚していないことの中に、実はとても大切なことが潜んでいるのだ、と再確認したのです。」(『「五感力」を育てる』 斎藤孝+山下柚実著 中公新書ラクレ)
机を取っ払って会議をしてみましょう
ところで、あなたはこれまで会議室の椅子や机の並べ方に注意を払っていたでしょうか? 多くの人が、あまり気にせずに、もともとの並べ方をそのまま利用していると思います。改めて、あなたの会社の会議室の中を眺めてみてください。
椅子や机はどんな形をして、どんな距離でどんな並べ方になっていますか? そして、それはどんな場や空気を作り出しているのでしょう? 緊張感でしょうか? 開放感でしょうか? よそよそしさでしょうか? 親しみでしょうか?
もし、会議室から机がなくなったらどんな空気になるでしょう? そんな場で会議をしたらどうなるでしょう? 机がないだけでも、今までの会議とは違った雰囲気になり、何かが変わることは間違いありません。
さらには椅子もなくして、会議を全員が立って行ったらどうでしょう? 実際にしている企業がありますが、従来よりも効率のよい会議が実現できているそうです。
何か組織に行き詰まりを感じているのであれば、まずはこんなところから始めてみてください。
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