浴槽の素材はさまざま。同じ素材でもメーカーによって異なる
在来工法でもシステムバスを選ぶとしても、バスルームのプランニングの際に、まず検討するのが浴槽(バスタブ)ではないでしょうか。一般的な住宅で用いられる素材には、人工大理石やFRP、ホーローやステンレス、木製などが挙げられます。在来工法のバスルームであれば、基本的に自由に選択することが可能。システムバスは、商品ごとに、いくつかの素材が設定されているので、好みや予算に合わせて選ぶことになるでしょう。なめらかな肌触りと艶、奥行き感のある輝きが特徴。アクリル鏡面の透明層と半透明層の2層構造の人造大理石グランザ。[スパージュCX 1620] LIXIL
浴槽の主な素材
■人工大理石 アクリル系とポリエステル系。メーカーによっても違いが
はっ水・はっ油技術で水も皮脂も弾き、汚れがついても簡単に落とすことができる。お掃除ラクラク人大浴槽(アクリルウレタン系人工大理石)。クレイドル浴槽。 [サザナ] TOTO
樹脂が原材料の人工大理石は、大きくアクリル系とポリエステル系に分類されます。一般的に、アクリル系は透明感や光沢があり、衝撃性や耐熱性などに優れるのが特徴。ポリエステル系はアクリル系より性能や風合いなど若干劣りますが、比較的安価なものが多くみられます。
最近では、他の素材を加えたり、重ねるなどして、性能や美しさを高めたものなど、メーカーそれぞれに工夫を施し、特徴を持たせたタイプも増えてきました。メーカーや商品によって、価格はもちろん素材感や色合い、性能なども異なりますが、価格帯も幅広いので、予算に合わせて選ぶことができるでしょう。
■FRP 軽量で柔らかく温かみがある樹脂素材
FRP素材のシンプルな据置タイプ。追い焚き式給湯機との接続可能。[ラフィア] TOTO
カラーバリエーションも豊富で、価格も手ごろなタイプが揃っています。汚れがつきやすいという面もありますが、最近では、材質などの改良も進み、性能やデザイン性を高めた製品もみられるようになりました。
■木製浴槽 ヒノキやヒバなど、独特の温かみや香りが特徴
木質独特の温かみや香りが魅力の木製の浴槽。材質としては、ヒノキやヒバ、サワラなどが用いられていますが、大きさはもちろん、樹種によって価格に差が出るものです。保温性、耐衝撃性や耐熱性も優れており、最近では、特殊な処理加工によって、腐りにくく、手入れも簡単な商品もみられるようになりました。
■ホーロー(ほうろう) 滑らかな肌ざわりや重厚感が魅力
ホーロー(ほうろう)には、鋳物ほうろうと鋼板ほうろうのふたつがあり、輸入品の浴槽にもみられる素材のひとつです。ほうろう層の仕上げはガラス質なため、肌触りは滑らかで、美しい色合いや光沢なども特徴でしょう。
重量のある鋳物ほうろうは、階上の浴室に設置する場合など、構造躯体の強度を高めることが必要になることも。取り入れたい場合は事前に設計担当者に相談すること。お手入れは簡単ですが、表面のガラス質が傷つくと、そこから本体が錆びてしまうこともあるので、早めのメンテナンスが必要です。
■ステンレス 傷やサビに強く、メンテナンスも楽
埋込式や据置式などのバリエーションも揃う。 [ステンレス浴槽/BL認定品 据置式 2方全エプロン] LIXIL
■アクリル 汚れがつきにくく耐久性も高い
優しいカーブを持つゆったりとしたバスタブ。空間のアクセントにもなるデザイン。 [CEY21717R バスタブ] 696 x 751mアクリル製 排水金具付(間接排水) セラトレーディング
表面の光沢や滑らかな質感が特徴。傷や汚れもつきにくく、耐久性も高い素材です。加工性が高いので、曲線を持つデザインなどもみられます。屋外用の浴槽などにも用いられている素材です。
システムバス商品に設定される浴槽は、人工大理石やFRPが主流
表面が硬くなめらかで汚れがつきにくい特徴を持つ、スゴピカ浴槽(有機ガラス系人造大理石)[オフローラ] パナソニック エコソリューションズ
システムバスをプランニングする場合、浴槽の素材は、商品シリーズに設定されたものから選ぶことになります。
一般的なシステムバスに多く設定されている浴槽の素材は、人工大理石やFRP。メーカーによっては、ホーローやステンレスを揃えた商品もみられます。人工大理石でも、いくつかの種類を設定するケースもありますし、メーカー独自に開発した素材などを用意したシステムバスも。検討する際には、標準仕様なのか、オプション仕様となるのか、確認することも大切でしょう。
ショールームで肌触りや光沢などの確認を
重厚感のある素材感が魅力のポリエステル系人造大理石。 [シャイントーン浴槽 1200サイズ 和洋折衷タイプ] LIXIL
どのようなプランのバスルームとするにしても、浴槽を選ぶ際には、ショールームで実際にその商品をチェックすること。肌が直接触れるアイテムなので、素材感を確かめることも大切でしょう。色や光沢、透明感などもカタログとはイメージが異なることもあるので、しっかりと確認を。お湯を張った状態や照明による雰囲気も確かめておきたいポイントです。
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