今から10数年前のバブルの頃、多くの人が地価は上がり続けると信じ、みなさんの中にも住宅の取得は一生無理と諦めた人が多かったのではないでしょうか。
でも結果はご存知のとおり、1990年をピークに地価は毎年下がり続け、現在でも下げ止まってはいません。では、バブルピーク時と比べていったいどのくらい下がっているのでしょうか。
■ データによると・・・
国土交通省が毎年発表している公示地価のデータを基に 「インフォバンク株式会社」 が作成した地価指数を見ると、東京圏では1991年のピーク時 (実勢価格とは時期的なずれがあります) に250.20だったものが、2001年には127.20と、ほぼバブル前の水準まで下がっています。正確なデータはありませんが、実勢価格ではこれ以上に下がっているのではないでしょうか。
また、社団法人都市開発協会のデータによる東京圏新築マンション価格の年収倍率 (専有面積75平方メートル換算価格/サラリーマン世帯の平均年収) では、1990年の10.02倍から2001年上期には5.28倍まで下がっており、これはバブル前数年の最低値 (1986年:5.36倍) をも下回る水準です。
これを東京都区部に限ってみると、同じく15.8倍 (1989年) から6.4倍 (2000年) まで下がっており (東京都住宅白書による) 、かなり下落していることが分かります。
年々マンションの構造や設備などのグレードが上がっており、またデータの基となるマンションの供給が都心寄りにシフトしていることを考えると、この年収倍率で見る以上にマンションは買いやすくなったということができるかもしれません。
下落幅が小さくなってきているとはいえ、地価はまだまだ下がるのでしょうか? これは専門家によっても意見が分かれるところで、一概に論じることはできません。
■ 地価の二極化が進行
しかし、ここ数年で、それまでの全面的な下落傾向から少し変わった動きが出てきました。それは 「地価の二極化」 です。
昨年8月発表の路線価や9月発表の基準地価では、全体の平均として相変わらず下落しているものの、港区、渋谷区、新宿区、品川区あたりで地価の上昇した地点がいくつも現れてきたのです。また公示地価では4年程前から上昇地点が発生するようになっています。
つまり 「利用価値の高い土地は地価が上昇し、低い土地は地価が下落する」 といった流れです。以前のように都心からの遠近で価格が形成されるのとは明らかに異なる動きです。
■ 再開発の影響
また中古マンションの平均坪単価による事例では、あらゆる地点で平均価格が下がっているのに対し、恵比寿エリアだけが過去6年ほどの間に10%以上も上昇しています。
恵比寿といえば 「恵比寿ガーデンプレイス」 の開業と、それに続く駅周辺の整備が上昇の要因と考えられます。そして、他の地価上昇地点についても共通している要因が 「再開発」 だといわれています。
企業のリストラに伴う資産整理や国有地の払下げなどにより、比較的大規模な再開発が各所で行なわれていますが、従来のようにビジネス一辺倒ではなく、住居や各種施設を含めた複合的な開発が行なわれることにより、その集客力とあいまって地価の上昇要因になっているものと考えられます。
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