【ガイドの不動産売買基礎講座 No.47】

一物多価の代表格ともいわれ、よく分かりにくい土地の価格。それぞれの土地で一つひとつ条件が違ううえに、同じ土地にも数種類の価格が存在します。今回は土地の価格にどのような種類があるのか、それぞれの特徴を簡単にみていくことにしましょう。

なお、土地価格のうち「路線価・公示地価・基準地価」については ≪路線価・公示地価・基準地価の違いを知る!≫ で詳しく解説しています。


実勢価格(取引価格)

これは実際に売買される(された)価格で、この事例の積み重ねによって取引相場が形成されます。他の価格が1平方メートルあたりの単価で表されるのに対して、取引価格は慣例により坪単価で表示されることもあるでしょう。

取引価格は従来より不透明感が強く、これを公開するシステムが国土交通省によって構築されていますが、まだ分かりづらい面が少なくありません。

また、実勢価格(取引価格)も細かくみれば、不動産業者による「査定価格」、一般市場へ物件情報を公開するときの「売出価格」、実際に取引された(売買契約が成立した)「成約価格」の3種類に分けられます。

「査定価格」は不動産業者が物件を調べたうえで「この価格なら売れる」ものとして顧客へ提示する価格ですが、それぞれの事情によって恣意的な要素が含まれるなど、意図的に低く、あるいは高く見積もられることもあります。

「売出価格」には、購入希望者から値引き交渉があることを見越して「査定価格」への上乗せがされているケースも多く、必ずしも土地価格相場の実態を正確に反映しているとはいえません。

ところが、売買価格事例のデータとして収集しやすいのは「売出価格」であり、これをもとに市場動向が語られることも多いでしょう。

不動産市場のトレンド(価格が上昇傾向なのか下落傾向なのか、取引が活発か低調か)などにより、「売出価格」の上乗せがたいへん多い時期と上乗せがあまりない時期の波が数年ごとにあるようですから注意が必要です。

「成約価格」は基本的に最も参考となる価格ですが、正確なデータが収集されにくいケースも少なからずあるほか、売主による売り急ぎや特殊な要因が背景にあるときには実際の相場から乖離することもあります。単純に数字だけをみると判断を誤ることもあるでしょう。


公示地価・基準地価

公示地価は、国土交通省(土地鑑定委員会)から毎年1回公示される1月1日現在の土地価格で、公共事業用地を取得する際の価格算定基準とされるほか、一般の土地取引価格の指標にすることが目的となっています。

本来は実勢価格に近いはずですが、実際にはかなり乖離している場合も少なくありません。都市部を中心に選ばれた地点(標準地)のみに価格が付され、毎年3月に公表されています。

基準地価も公示地価に似ていますが、こちらは都道府県によって決定される7月1日現在の土地価格です。

公示地価の地点とは異なる「基準地」が選定されていますが、一部は公示地価と共通の地点があり、半年ごとの地価の動きをみることもできます。毎年9月に公表されています。


路線価(相続税路線価)・固定資産税路線価

路線価(相続税路線価)は、相続税贈与税の算定基礎となる1月1日現在の価格です。公示地価の8割程度が目安とされ、それぞれの土地価格は国税庁(国税局)が決定します。

公示地価や基準地価が選ばれた評価地点だけの価格なのに対して、路線価は(都市部の市街地では)原則としてすべての公道(行き止まり道路を除く)に付されます。従来は8月1日に公表されていましたが、2008年からは毎年7月1日の公表となりました。

一般的に「路線価」といえば「相続税路線価」を指しますが、固定資産税評価額を決める際の基準となる価格として「固定資産税路線価」も存在していますから、両者を混同しないように注意しなければなりません。


固定資産税評価額

固定資産税都市計画税登録免許税などの算定基準となる価格で、評価の見直しは3年ごとに実施されます。原則として(都市部では)すべての私有地に対し価格が付され、各市町村(東京23区は都税事務所)の取り扱い(管轄は総務省)となっています。

公示地価の7~8割程度の価格水準とされていますが、実際にはかなり乖離している場合も少なくありません。


鑑定評価額・担保評価額

鑑定評価額とは、不動産鑑定士が土地所有者や金融機関もしくは第三者の依頼にもとづいて算定する価格です。依頼の内容や評価の目的により異なる価格が出される場合もあるようです。

それに対して担保評価額とは、金融機関が融資をする際に土地の担保能力を評価するものです。金融機関の独自の査定によって “相場とみなされた価格” の8割、あるいは7割程度の評価がされることも多く、場合によっては6割程度になることもあるでしょう。


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