不動産売買の法律・制度/不動産売買の法制度

地番と住居表示の基礎知識

不動産の取引ではとても重要な地番ですが、なかなか分かりづらい面もあるでしょう。住宅を買うならぜひ知っておきたい土地の地番の仕組みについて、基本的なポイントをまとめました。(2017年改訂版、初出:2003年6月)

執筆者:平野 雅之

【ガイドの不動産売買基礎講座 No.54】

あなたが住んでいる家の住所は「○○町○丁目○番○号」でしょうか? それとも「○○町○丁目○番地○」ですか?

この講座の ≪不動産登記記録の基礎知識≫ や ≪公図の正体≫ でも簡単に触れましたが、土地の登記や売買取引などには「地番」が用いられます。

そして、住所が「○番地○」の場合はそれがそのまま地番(ただし “地” を取って、○番○で表記します)となりますが、「○番○号」の住居表示と地番はまったく異なるものです。法務局登記記録を調べようとしても、住居表示だけでは何もできません。

住居表示はそれぞれの街区ごとに、原則として右回りの一定間隔で順に振られたものであり、建物に対して番号が決められます。京都市などの住居表示は、また別の独特な方法ですが……。これに対して地番は、それぞれの「土地に付けられた固有の番号」です。

たとえば、23番という地番が付けられた大きな土地があったとしましょう。これを2つの土地に分筆すると、23番1と23番2という地番になります。さらに23番2を分筆すると、23番2と23番3になります。

この後でさらに23番1を分筆すれば、23番1と23番4になるなど、分筆の時間的な順番によって枝番号が増えていくことになります。

実際の分筆ではもっと複雑なものになりますから、土地が地番の数字順に並んでいるということはほとんどありません(地番を振り直した場合などを除く)。

たとえば、23番1の隣が23番10、その隣が23番45、さらにその隣が23番2などということが起こります。2ケタ程度の地番ならまだしも、5ケタ+3ケタのような地番も存在しています。

そのため、住居表示が実施されていないエリアでは、地番表示の住所と道路地図だけで目的の場所を探し当てることはなかなか困難でしょう。

また、1つの建物の敷地が1つの土地だとは限りません。一戸建て住宅でも2~3筆(地番のついた個々の土地を “筆” で数えます)の土地の上に1つの建物が建っていることもあるほか、大型のマンションなどでは10筆以上の土地の上に1棟の建物が建っていることもあります。

「それなら合筆をすればいいじゃないか」と考えるかもしれませんが、いろいろと規定があり、合筆をして地番をまとめることが簡単にはできないのです。

それとは逆に、借地などの場合には、1つの地番の土地の上に複数の建物が建っていることもあります。土地と建物は、決して一対一の関係ではないということを覚えておきましょう。

土地の地番を調べるためには、その土地の所有者に聞く(権利証などを確認する)か、法務局で「公図」と住宅地図を照らし合わせて特定することが一般的です。最終的には登記記録を調べるなどして確定させなければなりませんが……。


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