個々の敷地の地盤だけでなく、そのエリア全体が軟弱な地盤だというケースもあります。物件見学の際に、隣接地の建物の基礎や玄関前のコンクリート部分に亀裂やひび割れがないかなど、外から見える範囲で確認しましょう。
ただし、隣家の人などに不快感を与えたりしないように気をつけなければいけません。あまり無理して覗き込むようなことは避けてください。
近隣エリアに建つ他の建物の土台や基礎に亀裂などが目立つ場合、そのエリア全体の地盤が軟弱な可能性も
雨がやんだ後に現地を訪れると、道路の凹凸状態などがよく分かる場合もあります。
高台の平坦な土地であればあまり問題ありませんが、低地で水が集まりやすい土地は軟弱な地盤である可能性が高くなっています。
同様に川などに接する敷地も注意しなければなりません。とくに都市部などで地盤面(の地下)と川がコンクリートを挟んで仕切られているだけのところでは、日常的に地中へ浸水していることもあるようです。
隣地や道路との間に高低差があり、その境に擁壁が設置されているような敷地では、擁壁の上端あるいは下端に近い部分への建築は避けるほうが賢明ですから、十分に距離をとって建物を配置できる敷地形状なのかどうかも考慮するようにします。
また、中古住宅の敷地なら地盤は比較的安定しているとはいっても、それまで荷重がかかっていたのは建物があった部分だけです。建て直して建物の配置が変わることで、不同沈下を引き起こすケースもありますから気が抜けません。
購入しようとする敷地の地盤に不安がある場合、最終的には専門家による地盤調査を行ない、それに応じた建物基礎の対策を講じることになります。もちろん、不安を感じない場合でも建築前にはきちんとした地盤調査を行なうほうが好ましいことは当然です。
残念ながら中古住宅の売主が事前に地盤調査をしていることはあまりありません。ただし、売主が当初建築した時点での地盤調査資料を持っていることはありますから、それがあれば見せてもらうようにしましょう。
また、事前に地盤調査をしていない場合、売主負担による調査を依頼しても、売主がそれに応じることは少ないのが現実です。
多くの場合は買主の負担によって地盤調査をすることになりますが、通常の一戸建て住宅用の敷地であれば「スウェーデン式サウンディング試験」と呼ばれる調査方法により、数万円程度の負担で済むようです。
なお、地中に予期せぬ埋設物などがあってその撤去に過大な費用がかかったり、建築工事そのものができなかったりしたときには、売主の瑕疵担保責任規定によって費用請求や契約の解除などができる場合もありますが、地盤が少し軟弱な程度で売主の責任を追及することは現実問題として難しいでしょう。
土壌汚染における売主の責任や、新築分譲住宅の建物に対する売主業者の責任などについては法の整備も進んでいますが、土地に対する個人売主の責任については、まだまだ曖昧な部分が多いのも実情です。
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