東日本大震災では事前の予測を超えた大津波によって各地で甚大な被害を受けましたが、地震の揺れによる建物の損傷も数多く報告されています。

また、阪神・淡路大震災では建物の倒壊による被害が大きかったほか、発生が懸念されている首都直下型地震では、火災による被害が甚大になるものと予測されています。

急傾斜地崩壊危険区域の看板

絶対に安全な土地はないため、土地の特性に応じた対策を考えることがきわめて重要

日本ではどこで大きな地震が起きるか分からず、「ここなら絶対に安全」といえるような地域はないでしょう。

そのため、地盤の強い土地を選ぶことや、地盤に応じた建物の対策をとることによって、被害のリスクを軽減させるように考えなければなりません。

自然災害は地震だけではなく、台風などによる豪雨や大雨、河川の氾濫や洪水、土砂くずれや地盤の崩壊、さらに大雪による被害などもあり、土地を選ぶときにはさまざまな観点からチェックをすることも必要です。

土地を購入して家を建てる前には、標準貫入試験やスウェーデン式サウンディング試験による地盤調査を行なうことが望ましいのですが、これから購入する土地を選ぶ段階で、候補の土地をすべて調査して回ることなど現実にはできません。

そこで今回は、土地選びのときにできる簡単なチェック方法を中心に、自然災害に強い土地を選ぶためのポイントをみていくことにしましょう。


まずは地形の観察から

物件の現地では、周辺の地形をよく観察してみることが大切です。都市部では住宅が密集し、地形がなかなか分かりづらいことも多いのですが、一見すると平坦に感じられる地域でも意外と高低差があるものです。

道路の傾斜や建物の基礎部分を観察すると、その高低差が分かりやすい場合もあるでしょう。

周辺よりも低くなっている土地は大雨のときなどに水が集まりやすく、地盤が弱くなっていることもあるほか、周囲の家の基礎部分に亀裂などがあるとき、あるいは周辺で複数の電柱がばらばらに傾いているときなどにも注意が必要です。

擁壁のある土地の場合、その擁壁の状態を確認することはもちろんですが、周辺に擁壁の多い造成地であれば、盛土であることも考えなければなりません。

実際にその土地が盛土なのか切土なのか、現地を見ただけで判断することは困難ですが、より慎重に地盤の調査をする必要があることを十分に意識するべきでしょう。


旧地名の由来を調べる

法務局や地域の図書館などで、目的の土地の旧地名を調べてみることも有効です。この場合の旧地名とは、現在の市町村名や町丁目などの名称ではなく「字(あざ)」(小字)のことです。古い住所の表示でみられた「○○町大字△△字××1番地2」のときの××の部分になります。

この「字」には、自然災害や地質、土壌などに由来したものが多く、それを調べることで土地の特性が分かることもあります。ただし、当て字で本来の意味とは違う漢字によって表記されている場合もあるので、その由来も地域の歴史書などで確認できると良いでしょう。

旧地名の調べ方などについて詳しくは≪地名に隠されたメッセージ≫をご参照ください。

なお、「字」が付いている土地を紹介されたと言って不動産業者に苦情を申し入れたお客様がいたという話を聞いたこともありますが、もともと国内のほとんどの土地には「字」が付いているのであり、現在はそれがあまり使われなくなっているのに過ぎません。

「字」が付いていること自体はまったく問題なく、「字」に危険を示す文字が使われているときに注意するべきなのです。


古地図を活用する

江戸時代の地図が入手できる地域はかぎられているでしょうが、明治時代から昭和時代の高度成長期以前の古い地図を、地域の図書館などで閲覧できるケースは比較的多いでしょう。

現在はビルや住宅が密集している都市部でも、以前はため池や沼地、湿地だったような区域が少なからずあり、古地図を調べることで、軟弱な地盤が埋め立てられた住宅地だという、その土地の歴史が分かる場合もあります。


自治体の窓口で調べる

津波ハザードマップなど、平成23年の東日本大震災以降に想定の見直しを迫られているものもありますが、多くの自治体では洪水ハザードマップや土砂災害ハザードマップ、防災マップ、災害危険予測図などの整備が進められています。

想定される地震に対して、詳細な震度予測図を作成している自治体もありますから、それが公開されているときには必ずチェックしましょう。

横浜市の地震マップの例

横浜市の地震マップでは、それほど離れていない場所に震度7の区域と震度4以下の区域が混在している


また、自治体によっては過去の浸水被害を住宅地図に示した記録や、市区町村内のボーリング調査による地盤のデータを公開している場合、あるいは造成地の以前の状態を教えてくれる場合などもあります。

担当する窓口がなかなか分かりづらいのが難点ですが、役所内の資料室などに一般公開用のものがまとめられていることも多いでしょう。


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