ブルガリアのヨーグルト使いはおもしろい!
左:半熟卵にヨーグルトソースをかけたもの 右:ヨーグルトソースをかけたオーブン料理
さて、店紹介の前に、ブルガリア料理がどのような料理なのか簡単に説明すると、ブルガリア料理はギリシャとトルコに接している土地柄、これらの国々の料理を少しずつ取り入れつつ、ヨーロッパの料理も融合させた料理だといえるだろう。
レストランと家庭、また地方によってもかわってくるが、基本的にはオーブン料理やシチューが多い。辛い料理はほとんどなく、私たちが日本で食べなれている洋食の味がベースになっていて、これにチーズやヨーグルトなどの乳製品でアクセントをつけているので、とても食べやすい。
というと、ブルガリア料理はあまり特徴がないようにおもわれるかもしれないが、そこはさすがヨーロッパの中でも歴史の古い国。やっぱりすごワザはたくさんある。
なかでも、私が他の国と比べてちょっと面白いとおもったのは、ヨーグルトとチーズの使いかただ。
ヨーグルトは、トルコやギリシャと同じようにハチミツなどをかけて、水をいれた塩味のドリンク(アイリャン)として、またにんにくやハーブなどをいれて揚げ物などの油っこい料理のソースとして使うが、ブルガリアではなんと、ヨーグルトに卵を混ぜて、ポテトなどの上にのせてオーブンで焼いてしまうという、すごワザがある。こんなところは、まさしくブルガリアならではの調理術だといえるだろう。
この料理、食べる前は“ヨーグルトのオーブン料理なんて、酸味がありそうでどうかな・・・”と内心おもっていたのだが、初めてブルガリアで熱々のものを食べたときは、あまり期待していなかっただけに、そのおいしさに驚愕した。濃厚なホワイトソースがそれほど得意ではない私にとっては、胃に優しいこのヨーグルト料理がとにかく新鮮で、すぐに気に入ってしまった。酸味が程よく残っていて、口当たりがとても爽やか。
ショプスカサラダ:シレネをたっぷりのせた、ブルガリアの代表的なサラダ。
汐留の「ソフィア」にも、もちろんヨーグルトやチーズを使ったブルガリアならではの料理がたくさんある。ヨーグルトは明治乳業の製品だとおもうが、チーズはわざわざブルガリアから仕入れた、“シレネ”という塩味の強いホワイトチーズを使っている。
トルコやギリシャにも似たようなホワイトチーズがあり、これらは日本でも手に入るけれど、シレネは残念ながら食材販売店では手に入らない、かなりのレアものだ。
ブルガリアでは、ヨーグルトよりも、むしろこのシレネのほうを調味料がわりにたくさん使うので、この店が本場のチーズにこだわった点では、心意気が感じられた。実際にシレネを食べたら、“ふ~ん・・・(心の中で普通だな)”とおもうかもしれないけれど、これはまさしくブルガリア産のチーズ。そのあたりはどうか寛容に(笑)。