名前に桜を冠した鱒。今の時期ならでは。 |
・強肴
白子筍は見た目も良好。 |
永楽の吉皿には黄身酢が用意されており、この黄身酢がまた珠玉の出来栄え! 確か去年に訪問した時にも、この黄身酢で感激しましたが、酢加減がとても控えめで、品の良い黄身の円やかさが、とにかく印象的なのです。この黄身酢に「白子筍」を和えていただくと、もうホントに口福の極み。もちろん、黄身酢をつけずに白子筍だけを食べしても、白子筍が持つ静かな甘み・柔らかさ・青い香りが舌の上から鼻腔にかけて、じわりと拡がり、噛みしめる度に白子筍の真味を堪能させてくれます。とにかくデリケートで扱うのが難しい白子筍を見極め、素材力がピークになるように調理される料理長の繊細で卓越した技量はホントに特筆に価するレベル。まっこと感服&感謝です。
・炊き合わせ
本日一番の白子筍。 |
今コース最後の白子筍料理は、フィナーレを飾るに相応しい質の高さで、料理長の見極めとテクニックにより、極限まで真味を引き出された味わいになっているのです。
えぐみはほとんどなく、青い香りと、ほのかに甘くピュアなテイストは、まさに、竹から生まれた「かぐや姫」そのもの。純粋無垢で、か弱い程の白い肌、それでいて凛とした空気感を全身に纏っているイメージと言えばいいでしょうか。
こういった京都が誇る食宝とも言うべき「白子筍」がいただけるのも、京都の「気候」(天)と、京都の豊満で豊潤な「土(テロワール)」(地)、そして、それらを見定める農家の人と京料理人の技(人)があってこそ。まさに天・地・人が作り出した、京都におけるキング・オブ・郷土料理といえるでしょう。
また、この料理の要である、筍とアブラメを内包したほのかに甘く繊細な出汁は、上品で優しい味わい。まさに春の旨味の饗宴ですね。
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