襖(ふすま)の開け閉めマナー、できていますか?
和室に入ろうとした際、襖(ふすま)の開け方に戸惑ったことはありませんか? 普段は何気なく開けていても、かしこまった席では失礼にあたることも多く、ばつが悪い思いをすることもあるからです。また、ドアならノックするのがマナーですが、襖はどうしたらいいのでしょう? 突然誰かが入ってきたら戸惑いますから、襖の場合は「失礼します」と声をかけます。しかし、それだけではありません。襖の開け閉めには、信頼関係を損なわない気遣いがあふれています。襖の開け方・マナーは立ったままは基本NG! 正座をして丁寧に開ける
例えば、立ったまま襖を開けても構わないのでしょうか? 本来、襖は座って開閉するものなので、立ったままでは座っている人を見下す格好になり失礼となります。よくあるのが、遅れて到着した人が立ったまま開けて「遅れてすみません」と詫びるシーン。恐縮したつもりが、それでは横柄な態度に映ってしまい、逆効果になることも……。座って開け閉めする正式な方法を知っておくと、どんなシーンでも対処できるから安心です。細かい作法は流儀によって違いますが、一般的な開け方を覚えておくと、いざというときも安心です。目上の方のご自宅やかしこまった席では、正座をして丁寧に開けましょう。また、突然開けて室内の方が戸惑わないよう気遣うことも大切です。
- 開けようとする襖の中央に、襖とこぶし2つ分の間隔をあけて正座し、「失礼します」と声を掛けます。
……ドアをノックするのと同じ意です。基本的には下座側の襖から出入りしましょう。 - 引き手(手をかけるところ)に近い方の手を掛け、5cm程度開きます。
……引き手ですべて開閉しようとすると、動きにくくて見た目も悪く、引き手も傷んでしまいます。引き手は少しだけ開けるためのものと心得、開閉は親骨(襖の枠のところ)に手を掛けて行います。また、これから入りますよという合図になります。 - 掛けた手を引き手から親骨に沿ってすっと下ろし、敷居から30cm上あたり(自然に手が届く位置です)を押して中央まで開けます。
……ここまでが部屋の様子を察する動作で、この時点では室内の方と視線は合わせません。中の状況を察して、ひと呼吸おくこともできます。 - 手を替えて親骨を押し、残りを開けます。開ける幅は体が通れるぐらいか、全部は開けずに5cm程度を残しておきます。
……5cm残すのは、閉めるときの「手がかり」を残すためです。これだけ段取りを踏めば、相手の準備も整うでしょう。 - 襖を開けたら会釈をし、両手(軽く握ります)で体を支えながらにじって入室します。
襖の閉め方……開けるときと逆の所作に
襖(ふすま)を閉めるときは、開けるときと逆の所作になります。- 襖に向かって正座し、襖に近いほうの手で敷居から15cm上あたりをつかみ、中央まで閉めます。
……開ける際に残しておいた「手がかり」をつかみます。 - 手を替え、敷居から30cm上あたりをつかみ、残り5cm程度まで閉めます。
……1と2でつかむ高さが違うのは、1が逆手で2は順手になるためで、無理なく届き動かしやすい位置となります。 - 2の手を引き手に掛け、全部閉めます。
こんなときは立ったままで……臨機応変に襖(ふすま)の開け閉めを
こうした開閉が丁寧なやり方で、何度か練習し、慣れてしまえば流れるようにできて美しいです。また、手を替えずに片手でする方法や、立ったままでの開閉もあります。例えば、和室を洋風に使用しているなら立ったままで構いませんし、カジュアルなシーンで正式な作法をする必要もないでしょう。こうした作法は、障子や格子戸にも応用できます。
なぜそうするのかという道理がわかると、臨機応変に対処できるもの。正しい方法を身につけておくのが得策といえそうです。