熨斗(のし)なしにするお歳暮・ギフトって?
お馴染みのものなのに、知っているようで案外知らない「熨斗(のし)」。押さえておきたいポイントを2問のクイズでご紹介します。知らないと困るお付き合いのマナーなので、きちんとチェックしてみてくださいね。お歳暮などのギフトでおなじみの熨斗(のし)ですが、熨斗を付けてはいけないケースがあります
<目次>
第1問:「熨斗(のし)」ってどれ?
「お客様、のしはお付けしますか?」の受け答え、間違えていませんか?
「熨斗(のし)はお付けしますか?」
「はい、お歳暮でお願いします」
などと答えたりしますが、実はこの受け答えは間違っています。
さて、いったい何がおかしいのでしょう? 答えはこちらです。
第2問:熨斗(のし)はこんなときどうしますか?
お歳暮やお中元などで人気の魚介類ですが、熨斗(のし)に関して注意しないと失礼なことに……
【A】水引きと右上に飾りの付いたもの 【B】水引きだけで、飾りの付いていないもの
のし(熨斗)ってどれ?
これが「のし飾り」で、中の黄色い紙が「のし」です |
「のし」といえば贈答品に付ける紙だと思っていませんか? のしは熨斗と書き、のし紙に付いているあの小さな飾りのことです。
さらに正しく言うと、あの小さな飾りはのし飾りで、その中に包まれた黄色い部分がのしなのです。あの黄色い部分はアワビを模したものでして、アワビの干物を熨した(のした=のばすこと)ものをのしあわび(熨斗鮑)といい、ここから熨斗(のし) という名前になりました。
のし(熨斗)が付いているから「のし紙」
多くの方が、贈答品に付ける紙を「のし紙」や「のし」と呼んでいますが、実は違います。- 「のし」と「水引き」が付いた掛け紙 ……「のし紙」
- 「のし」はつかず「水引き」だけが付いた掛け紙 …… 本来「のし紙」と呼ぶのは間違い
のしが付いているから「のし紙」という
ややこしいですね~。まぁ、通常はそこまでこだわって考えなくても構いませんが、実はここからが大事です。知らないでいると、思わぬ失敗をするかもしれませんので、第2問の答えもきちんとチェックしておいてくださいね。
のし(熨斗)の由来・意味
第2問の答えは【B】の水引きだけで飾りの付いていないものです。では、その理由をわかりやすくご説明しましょう。まずはのしの由来をご紹介します。意味がわかると、のしの使い方が理解できるようになります。熨斗のルーツは鮑(あわび)です!
古来より吉事には魚や鳥肉のような生ものが欠かせなかったため、海産物を贈る風習がありました。また、伊勢神宮では2000年も前からあわびをお供えするようになり、やがて日持ちのするのしあわび(熨斗鮑)が奉納されるようになりました (今でも伊勢神宮では本物の熨斗鮑を奉納しています)。こうしたことから、神の供物であるのしあわびを吉事に贈るようになっていきました。
●のしあわびが、めでたさの象徴として贈答品に添えられる
江戸時代に入ると、のしあわびが不老長寿や長寿延命に効く薬としても珍重されるようになり、さらに縁をのばす、命をのばす、慶びをのばすなど、めでたい物の象徴として贈答品に添えるようになっていきました。そもそもあわびはとても貴重ですから、贈り手のお祝いの気持ちや誠意を伝える最高の贈り物だったのです。
●本物から代用品へ、やがて印刷へと変化
見覚えありませんか? これは、のし飾りをさらに簡略化した「文字のし」です |
しかし、とても高価で貴重なのしあわびを手軽に贈ることはできません。そこで、代用としてのし飾りが作られるようになり、さらに簡略して奉書に印刷されるようになったのです。これがのし紙です。
こうして熨斗(のし)の成立ちをみてみると、第2問の問題の意味がおわかりいただけるでしょう。のしそのものが生ものの代用なので、魚介類にはのしを付けないしきたりなのです。
のしの正しい使い方まとめ
中身や目的に応じて熨斗(のし)を付けましょう!
もともと吉事に使われ、縁をのばす、命をのばす、慶びをのばすといった縁起物なので、お歳暮やお中元など様々な贈答品に使います。弔事に使ってはいけません。
■魚介類や肉などの生ものには のしを付けない
のし自体が生ものの象徴なので、意味が重複してしまうからです。のしのない、水引きだけの掛け紙をつけましょう。
贈答品にのしを付けるのは当たり前ではありませんので、気をつけてくださいね。
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