浴衣の帯、基本の「文庫結び」とアレンジした「変わり文庫結び」
綾秦 節(あやはた せつ)/きもの研究家。装道きもの学院、山野高等美容学校卒業後、美容師となる。「綾秦きもの文化せんたぁ」で着付け指導ののち、港区赤坂にて「布・今昔あやはた」を開業。テレビ・雑誌・ポスター・CMなどで女優やモデルのきものコーディネートに携わる。2003年に同店を閉店し、2004年に単独でフランス留学。2006年12月本格帰国し、きもの講師として活躍中!著書『賢いきものの楽しみ方』(世界文化社)。 「アトリエあやはた」 |
「4m前後の長い布を体に巻きつけ、芸術的に結べるのは世界中でも日本人だけ。ぜひ、帯結びの楽しさに目覚めてくださいね」とフランス留学を経験された綾秦先生。人気のある文庫結びと、さらに素敵に魅せる変わり文庫結びを教えてくださいました。
前で結んで後ろに回す方法でご紹介しますので、初心者でも失敗がありません。
浴衣の帯の結び方:「文庫結び」と2種類の「変わり文庫結び」
浴衣/neon、帯/参考商品 < 取材協力 > 笑うキモノ生活 [玉のり] |
文庫結びは羽根の向きや開き方で雰囲気が変わります。リボンのように羽根を広げた文庫結びは、愛らしく華やか。完成形で売られている作り帯もこの形が主流です。
前で結んで後ろに回すので、初心者でも簡単! |
綾秦先生のアイデアで、羽根の重ね方を変え、斜めに締めて「たて矢風」と命名しました。リバーシブル帯で裏面を見せ、印象的にしましょう。
流れるラインが色っぽい結び方です |
「たて矢風」に手先をかぶせて、優雅で色っぽい雰囲気に。帯締めを締めるので、きちんとした印象になります。
浴衣の帯の結び方:文庫結び
前で結んで形を整えてから後ろに回す方法なので、初心者でも簡単です。■必要なもの:
半幅帯/細いひも(なんでもOK)/ピンチ(洗濯ばさみでOK)/帯板
1:手先を半分に折って60cm取り、伊達締めにピンチで留めておく(半分に折った手先は斜めに帯幅に戻す)
2:帯を体に2回巻き、手先を上に出す
3:結びやすいよう、たれ(巻きつけてきたほう)も半分に折る。ピンチもはずしましょう
4:はさまれていた手先を脇の方へ引きあげ……
5:手先を上にして重ね、その手先を下から通して……
6:ひと結びする。ゆるまないようにしっかりと横に引き締め、手先を上にたれを下に引いて結び目を縦にしておく
7:今度は羽根の準備。手先は垂らした状態で、たれを内巻きにぐるぐる巻きます(すのこだたみ)
8:この時、内側と外側をずらしてたたむと、仕上がりがかっこよくなります
9:結び目近くのたれの根元を、しっかりと広げておく
10:たたんだ帯の真ん中を山にして両側を寄せて三つ山ひだをとり、中心を細ひもで結んで、リボンの形を整る
11:垂れ下がっていた手先を胸元に上げ、リボン中央を上からひと巻きし、巻いた手先を上に引き上げる
12:もう一度巻いて、再びしっかり引き上げる(中心が二重巻きされました)
13:手先を帯と伊達締めの間に入れ、下に引く
14:リボンと帯の間にたたんだプチタオルをさし入れると、リボンが安定する
15:帯の下に出ている手先を中に折り込み、形を整える。帯の上にきちんとリボンがのると美しい!
文庫結びの完成!
16:時計まわりに帯を回して、前に帯板を入れ、形を整えて完成です(⇒コツ!)
今回は4.2mの帯で片側2枚(合計4枚)の羽根を作りましたが、帯が短い場合には、羽根の数で調整してくださいね。
浴衣の帯の結び方:変わり文庫結び~たて矢風
羽根のたたみ方を変えてアレンジする 色っぽい変わり文庫の結び方をご紹介します定番の文庫結びを応用し、斜めのラインが美しい「変わり文庫結び~たて矢風」を結んでみましょう。■必要なもの:
半幅帯/細いひも(なんでもOK)/ピンチ(洗濯ばさみでOK)/帯板
1:文庫結びの1~6を参考に帯をひと結びし、結び目を縦にしておく
2:手先は垂らした状態で、羽根の準備をする。たれを持ち……
3:外側へびょうぶのようにたたむ(屏風だたみ)。下の羽根より上の羽根を小さく重ねると美しく仕上がる。リバーシブル帯を使うと、写真のように裏も楽しめます
4:たたんだ帯の真ん中を山にして両側を寄せて三つ山ひだをとり、中心を細ひもで結んで、リボンの形を整える
5:垂れ下がっていた手先を胸元に上げ、リボン中央を上から2回巻き、余った手先を帯と伊達締めの間にしまう
6:リボンと帯の間にたたんだプチタオルを入れて台にし、リボンを安定させる
変わり文庫結び ~たて矢風の完成!
7:リボンを斜めにして形は完成。あとは時計まわりに後ろに回し、前に帯板を入れて出来上がりです(⇒コツ!)
浴衣の帯の結び方:変わり文庫結び~たて矢流し
「さらにひと工夫してみましょう」と綾秦先生。■必要なもの:
半幅帯/細いひも(なんでもOK)/ピンチ(洗濯ばさみでOK)/帯板/帯締め
1:(たて矢風の4まで参照↑)手先を上から1回巻き、その根元を広げて帯締めを通し、後ろ手で仮結びしたら、リボンと帯の間にたたんだプチタオルを入れて安定させる
2:時計まわりに後ろに回し、仮結びしていた帯締めをきれいに結び、帯板を入れて出来上がり(⇒コツ!)。帯締めは、変わり結びにして遊び心を添えても素敵です
変わり文庫結び~たて矢流しの完成! 流したラインが色っぽく、大人の女性に似合いそう。帯締めをしているので、きちんとした印象に映ります。
※綾秦先生指導の「みやこ結び」編は、どんな帯結びにも共通する“美しい帯結びのコツ”が満載です。「みやこ結び(リボン返し)の結び方」をご覧いただき、ぜひお役立てください。
< 取材協力 > 笑うキモノ生活 [玉のり]
浴衣の着つけは大丈夫ですか?テキトーに着ていると着崩れしてしまいます。⇒細かい要所まで写真で丁寧に解説します |