昔ながら遊びにはメリットがいっぱい! お正月遊び一覧
「なつかしいなぁ」我が子にもそんな思い出をつくってあげたいですね(画像提供:「がき大将」)
しかしそれではもったいない! お正月遊びは世代を超えて楽しめ、親から子へ、祖父母から孫へ、伝承する喜びは格別です。日本の伝承遊びは、遊びやおもちゃを通じて知恵や発育を促すものばかりです。お子さんにとっても素敵な思い出になるでしょう。
そこで、伝承したいお正月遊びを10種類選んでみました。その由来から、子どもの健やかな成長や家族への願いも読み取れるので、家族の絆を強めるのにも役立ちそう! さて、どれにチャレンジしましょうか。
■日本の正月遊び10選 INDEX
- 子供の厄払いだった「羽根つき」
- 新春に行うには意味があ「凧揚げ」
- 賢い子になる「いろはかるた/百人一首(坊主めくり)」
- 笑う門には福来る「福笑い」
- 人生ゲームは出世双六「双六(すごろく)」
- 勝つためにはカスタマイズを「めんこ」
- 脳を活性化!日本人の器用さにも貢献した「お手玉」
- パパ教えて!4千年も前から遊んでいる「コマまわし」
- 灯台までできれば1級です「けん玉」
- 転んでも起き上がらないから一喜一憂「だるま落とし」
羽根つきの意味や由来・遊び方
観賞用の羽子板ではなく、実技用の羽子板で遊びましょう
やがて羽根つきで厄祓いできると信じられるようになり、江戸時代には、年末になると邪気を祓うための羽子板を贈るようになりました(浅草の羽子板市は有名ですね)。
羽根にも2種類あります。こちらの「矢羽根」は落ちてくるスピードが速い。「丸羽根」(上段の画像↑)はくるくる回りながらゆっくり落ちてきます。
こうして、羽根つきは一年の厄をはね、子どもの健やかな成長を願うものとして、親しまれてきたのです。打ち損じると顔に墨を塗るのも、魔除けのおまじないです。
押し絵などで装飾された観賞用の羽子板と、簡素な実技用の羽子板がありますので、実際に遊ぶ場合には実技用の羽子板で思う存分楽しんでください!
ちなみに遊び方ですが、ひとりで突く場合とふたりで突く場合では、呼び名が違います。
- 突き羽根/あげ羽根:ひとりで何回突けるか競う遊び方
- 追い羽根:ふたりで突いて勝負する遊び方
凧揚げの意味や由来・遊び方
昔なつかしい「奴凧」。和凧は竹の骨組に和紙を張って作ります。
凧が高くあがるほど願い事が神様に届くので願いが叶う、元気に育つといわれています。
また、昔から「立春の季に空に向くは養生のひとつ」といわれたことから、立春に凧あげをするようになったともいわれています。昔は新しい年が立春のころにめぐってきたので、新春が正月を意味するようになったのです。
遊び方にも幾つかあり、より高く揚げて楽しむだけでなく、相手の凧を落としたり、糸を切ったりする「凧合戦」「凧喧嘩」などがあります。また、日本の凧に対して、洋風凧をカイトと呼びます。現在はのびのびと凧を揚げられる場所が少なくなりましたが、お正月の風物詩としてチャンスがあればぜひどうぞ!
かるた(いろはかるた/百人一首)の意味や由来・遊び方
江戸いろはかるたは「犬も歩けば棒にあたる」でお馴染みなので、通称「犬棒かるた」といいます。
■「百人一首かるた」は平安時代につくられた様々な和歌集を、鎌倉時代に京都の小倉山に住んでいた藤原定家が集めた「小倉百人一首」でできており、宮中の遊びだったものが江戸時代の木版画技術によって庶民に広がり、お正月に楽しまれるようになりました。
■「いろはかるた」は「犬も歩けば棒にあたる」などのことわざを用いたもので、子どもが遊びながら字やことわざを覚えられるようにと江戸時代後期に考案されました。面白いのが、いろはかるたの内容が江戸(江戸いろはかるた)と京都(京いろはかるた)、大阪、上方、尾張などで違うということ。例えば、江戸と京都を比較してみると……
■江戸いろはかるた/京いろはかるた
- 「い」 犬も歩けば棒に当たる / 一寸先は闇
- 「ろ」 論より証拠 / 論語読みの論語知らず
- 「は」 花より団子 / 針の穴から天のぞく
- 「に」 憎まれっ子世にはばかる / 二階から目薬
- 「ほ」 骨折り損のくたびれ儲け / 仏の顔も三度
- 「へ」 屁をひって尻すぼめる / 下手の長談義
- 「と」 年寄りの冷や水 / 豆腐に鎹
- 「ち」 塵も積もれば山となる / 地獄の沙汰も金次第
■坊主めくり
坊主めくりは百人一首に親しむチャンス!自然に内容を覚えてしまいます。
■坊主めくりの遊び方・ルール
百枚の絵札を裏返して山にする。参加者が1枚ずつめくっていき、絵札の柄によって札を動かしていく。山がなくなった時点で多く札を持っていた人の勝ち!
- 男性が描かれた札をひいた場合:そのまま場に置いていく(手持ちにするというルールも見受けられます)
- 女性が描かれた札をひいた場合:それまでに場に置かれた札を全部もらう
- 天皇(院は男性と同じ扱い)が描かれた札をひいた場合:山から10枚もらう(10枚未満の場合は全部)
- 坊主が描かれた札をひいた場合:手持ちの札を全て場に出す
福笑いの意味や由来・遊び方
福を呼ぶ「お多福」。どんな顔になってもご愛嬌!
遊び方に明確な決まりはないので、より面白い顔を作って笑わせた者が勝ち、正確な顔を作った者が勝ちなど、ルールを決めて勝負する場合もあります。家族の似顔絵でオリジナル福笑いを作ってみるのもおすすめです!
双六(すごろく)の意味や由来・遊び方
大人も楽しめる「大相撲出世双六」は、横綱の土俵入りで上がりです。
■盤双六
1対1で対戦し、将棋盤のような双六盤の上でサイコロに従って多数の駒を動かすゲームで、その名の通り双方に6つのマス目があります。その歴史は古く、日本書記に記載(689年付)されていたり正倉院に残されているほどで、江戸時代には嫁入り道具になったほどでしたが、現在はほとんど姿を消しました。西洋版の盤双六が「バックギャモン」というゲームです。
■絵双六
この盤双六と区別するためにお馴染みの双六を「絵双六」といいます。絵双六のルーツに「浄土双六」があるのですが、これは極楽浄土への道筋を現したものでした。やがて東海道五十三次を進んでゆく「道中双六」や「出世双六」が江戸時代に人気をよび、お正月などに親しまれるようになりました。大正時代になると『少年倶楽部』などの雑誌の付録として様々な絵双六が登場し、畳めば薄くなって見栄えも良いため、新年号の目玉付録として定着していきました。
サイコロをふってコマを進めるだけのシンプルなルール、勝敗は運次第、何人でも参加できることがお正月の団欒にぴったりで、その年の運だめしにもなります。最近はルーレットを回すものも多くなりましたが、人気の「人生ゲーム」はまさに「出世双六」です!
めんこの意味や由来・遊び方
キャラクターめんこ欲しさに、駄菓子屋さんに通った方も多いのでは?
やがて明治時代の鉛のめんこを経て、大正時代には紙のめんこが主流になります。丸い「丸めん」、長方形の「角めん」があり、相撲力士・野球選手・漫画のキャラクターなどが印刷されてブロマイド的な要素もあり、男の子に絶大な人気でした。
■めんこの遊び方・ルール
床に置いためんこめがけて自分のめんこを打ちつけ、風圧や衝撃を利用して相手のめんこを動かすのが基本です。いろいろな遊び方がありますが、勝者が敗者のめんこをもらい、最終的に枚数の多い者が勝ちです。
- 起こし: 各自同数のめんこを置き、自分以外のめんこを裏返しにしたらそれをもらう。
- はたき:地面に円を描き、その中に各自同数のめんこを置いて、自分以外のめんこを円の外に出したらそれをもらう。
- 落とし:箱や台の上に、各自同数のめんこを出しあい、自分以外のめんこを落としたらそれをもらう。
めんこは厚紙でできているので、強いめんこにするために自分でカスタマイズすることもあります。例えば、テープを貼って滑りをよくしたり、溶かしたロウを中に塗りこんで重くしたり、数枚貼り合わせて頑丈にするのです。
お手玉の意味や由来・遊び方
キャッチしたときの感触や音も魅力のひとつ。この感覚を我が子にも… |
平安時代になって石を使った「石なご」遊びが一般に広がり、江戸時代に入ってから、袋の中に小豆、粟、ひえ、大豆などを入れたお手玉になりました。
※参考文献『お手玉』日本のお手玉の会監修/文渓堂
手先を使うお手玉遊びは、脳を刺激して集中力も増すため、子どもの頃から親しむことで日本人の手先の器用さに貢献しました。現在は、子どもの脳を活性化するだけでなく、ボケ防止としても注目されています。
お手玉はいろいろな遊び方ができるもの。おばあちゃん世代に教えてもらったり、自分たちで考えたりして楽しめます。参考までに遊び方の例を幾つかご紹介します(競技大会では規定ルールがあります)。
■お手玉2個の遊び方
- 左右1個ずつ持ち、同時に投げ上げて、キャッチ。これを連続する(上手にできたら数を増やす)
- 左右1個ずつ持ち、同時に投げ上げて、手の甲で受け止める→そのまま甲ではね上げてつかむ
- 左右1個ずつ持ち、同時に投げ上げて、落下するまでに手を叩いてから取る→だんだん手を叩く回数を増やしていく
- 右手は手の平にお手玉を置いて投げ上げ、手の甲で受け止める。左手は手の甲に置いて、手の平で受け止める。これらを同時に行う。
親玉を上に投げ上げ、落下するまでに床にまいたお手玉を寄せ集める。最初は親玉が落ちてくるまでに1つ拾って親玉も一緒にキャッチ。
これがひと通りできたら、拾う数を増やしていき、失敗したら次の人と交代します。お手玉歌(おばあちゃんに教えてもらいましょう)を歌いながらやると楽しい!
コマ(独楽)まわしの意味や由来・遊び方
紐を使わない手まわし独楽ならカンタンです。
日本へは奈良時代ごろに唐から高麗を経て伝来したと考えられています。高麗はかつて「こま」と呼ばれていたので「こま」という名前になり、「独楽」の字が用いられました。当初は貴族の遊戯でしたが、江戸時代から庶民の遊びとして広がりました。
独楽は、物事が円滑に回るに通じて縁起がよく、うまく回ると子どもが早く独り立ちできると言われています。
指でクルンと回すもの、紐を巻きつけて回すものがありますが、独楽の種類としては、軸を通したデアボロ、軸のないベエ独楽の2種類に分けられます。遊び方も、回転の美しさを楽しむもの、独楽同士をぶつけ合って勝負するもの、曲芸的な技を楽しむものなどいろいろです。紐を巻きつけて回すものは、巻き方などにコツがいります。独楽まわしの上手なおじいちゃんやお父さんに教えてもらうと良いでしょう。
けん玉の意味や由来・遊び方
大皿にのれば10級。コツをつかめば1級(日本1週・世界1週・灯台)の技までクリアできるかも!
今のような形になったのは大正時代で、玉を太陽(日)に、浅い皿を三日月に見たてて「日月ボール」といいました。これが昭和初期に大ブームとなり、けん玉として子供達の定番おもちゃとなりました。
けん玉は持ち方(どこを持つにしても親指と人差し指でしっかりと)、構え(重心を前に)、タイミングが重要。日本けん玉協会では、10級(大皿をに玉をのせる)~1級(日本1週・世界1週・灯台をクリア)~六段まで様々な技があります。
だるま落としの意味や由来・遊び方
意外とコツがいるだるま落としは、集中力も養われます。 |
だるまは転んでも起き上がることから、お正月にだるまに願をかけながら片目を入れて飾り、願いが叶ったらもう一方の目を入れるもの。毎年大きなだるまに買い換えて、1年の願掛けをするのです。
だるま落としのだるまは転んでも(落ちても)起き上がりませんから、転ばない(落とさない)ようにするわけです。
■だるま落としの遊び方・ルール
上のだるまが最後まで落ちないよう、下に積み重ねた段を小槌でたたいていくゲーム。最後までバランスよく保つのが難しく、たたく力や方向を加減しながら一喜一憂するのが楽しいのです。だるまが落ちるまでひとりで打ってもいいですし、複数で交互に打ってもいいでしょう。
< 取材協力 > ナックトイズ 「がき大将」
昭和のなつかしい玩具を通信販売しているサイト(この道50年・株式会社仲谷商店のWeb-Shop)。子供会などに便利なイベントグッズも扱っています。今回の掲載画像はすべて「がき大将」からお借りしました。
【関連記事】