こどもの日は別名「菖蒲の節句」といい、菖蒲で行事をする
5月5日「こどもの日」といえば、鯉のぼり・柏餅・粽・菖蒲を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。たとえ自前でなくても空に泳ぐ鯉のぼりを愛でることはできますし、美味しい柏餅や粽に舌鼓を打つこともできますが、菖蒲との接点は意外と少ないかもしれません。「こどもの日」は本来「端午の節句」といいますが、別名「菖蒲の節句」といい、菖蒲を用いて行事をする日でした。そして、武道を尊ぶ「尚武」や、勝ち負けの「勝負」と音が同じであることから男の子の節句になりました。
菖蒲にまつわる風習も多く、重要な役目を担っていますが、定番の菖蒲湯を楽しむ家庭も減少中で、「お風呂のためだけに、わざわざ買うのが億劫で……」というのも大きな理由のひとつでしょう。ならば、”お風呂のためだけではない”菖蒲の楽しみ方を見つけてみませんか。さまざまな菖蒲活用術をご紹介します。
<目次>
定番「菖蒲湯」を堪能! やり方・入り方は? 香は葉、効能は茎や根っこから
「菖蒲湯」に入ると菖蒲の強い香りで邪気を払い、薬草効果で健康になるので、無病息災で過ごせるといわれています。お風呂に菖蒲を入れるだけですが、ちょっとしたコツでより一層豊かな香りが楽しめます。<菖蒲湯のやり方・入り方>
- まずは菖蒲の準備から。香りは葉から、血行促進や保温効果は茎や根っこの部分になります。10本ぐらい用意して束ねておきましょう(バラで使用する時は、風呂釜などに詰まらないようご注意ください)。
- 沸かし湯の場合なら水のうちから菖蒲を入れ、少し高めの温度に沸かしておくと香りが増します。その後、お好みの温度にぬるめて入るといいでしょう。
- 給湯式の場合には、浴槽が空のうちから菖蒲を入れ、やはり42度~43度の高めの温度で給湯し香りを高めてから、冷まして入ると効果的です。
要注意! 菖蒲湯や菖蒲笛の「菖蒲」と「花菖蒲」は違う
紫系の美しい花で目を楽しませてくれる花菖蒲はアヤメ科の植物で、花菖蒲を湯船に浮かべても、香りや効能を楽しむことはできません。菖蒲の節句で用いる菖蒲はショウブ科の植物で、その葉っぱに独特の芳香があり、茎や根っこに血行促進や鎮痛作用があります。菖蒲にも一応花が咲きますが、花菖蒲のような華やかなものではなく、ガマの穂のような地味な花です。
つまり、お節句用の花飾りをおすそ分けしても本来の菖蒲湯にはなりませんから、きちんと菖蒲を用意する必要があるわけです。スーパーやお花屋さんでも葉と茎を束ねた菖蒲湯セットが売られていますので、これを利用すると手軽でしょう。
子どもも喜ぶ「菖蒲の鉢巻」「菖蒲笛」の作り方!
■菖蒲の鉢巻 …… 細長い菖蒲の葉を一本とり、頭に巻いて鉢巻にすると頭に邪気が入らないので、元気で賢い子に育つと言われています。「こうすると健康で頭が良くなるんだよ」とおまじないも忘れずに!■菖蒲笛 …… 菖蒲笛の作り方は、葉の上下を切ってハーモニカほどの長さにし、芯があったら取り除きます。横笛の場合は、葉の開口側に口をあてて吸うと音が鳴ります。縦笛の場合は、下部を押さえて切り口を吹くと音が鳴ります。結構難しいのでピーピーと音が鳴ったら大成功! 練習するとコツがつかめます。
食卓に季節感を「菖蒲の箸置き」「菖蒲の盛り付け」「菖蒲酒」
ここからが腕の見せどころ! 風情あふれる菖蒲の活用法をご紹介しましょう!■菖蒲の箸置き …… ガイド三浦考案の現代流のアイデアです。箸置きの作り方はあなた次第。細長い葉を適当に丸めたり結んだりすれば、それらしい形になります。手元から菖蒲が香りたつのもいい感じ。家族みんなで自分の箸置きを作ってみても楽しいでしょう。
■菖蒲の盛り付け …… 刺身、オードブル、焼き魚などの盛り付けに、適当にカットした菖蒲を添えるだけ。水にくぐらせて瑞々しくすると、季節感とともに食欲もアップします。
■菖蒲酒 …… 本来は菖蒲の根を刻み浸けこんだりしたお酒です。菖蒲には解毒作用があり、中国では健胃や血行促進のほか打ち身にも効く薬草として珍重されていたそう。今は、菖蒲の葉をお酒に浸し、菖蒲酒の風情を手軽に楽しむ方が多いようです。お子様はお水でどうぞ。
無病息災を願って「菖蒲枕」
■菖蒲枕 …… 寝ている間に邪気が入らぬよう、寝床や枕の下に菖蒲を敷いたり、菖蒲で作った枕で眠り、翌日これで菖蒲湯を立てて無病息災を願う風習がありました。枕を作るとなると大変ですが、枕の下に敷く程度なら手軽にできるはず。菖蒲を敷いて眠るとどんな夢がみられるのか、それも楽しみですね。元気な子供に「菖蒲切り」「菖蒲打ち」
■菖蒲切り/菖蒲太刀 …… 束ねた菖蒲を刀にしたチャンバラごっこ。悪鬼退治や武道上達を願う意味が込められています。■菖蒲打ち/菖蒲たたき …… 束ねた菖蒲を地面に打ち付けて音の大きさを競う、昔ながらの遊びです。地面をたたいて悪魔を封じ、音で邪気を払う意味があります。
ひと把の菖蒲でも色々な楽しみ方があります。子どもにとっても、良い思い出になるはず! 花の綺麗な花菖蒲とともに、端午の節句を彩ってみてはいかがでしょうか。
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