チャーでバニラをたっぷりと
バーナーで火入れする樽職人 |
樽の内面を強い熱で炭化させる方法をチャー(Charring)、また何回か使用した樽を活性化するために再度熱処理をおこなうことをリチャーと呼ぶ。これによって樽材内部にバニリンといった甘い熟成香味成分が生成される。炭化層には未熟成香を減少させるはたらきもあり、香味に大きな影響を与える。
リチャー中の炎。かなり燃え上がる |
こうした成分の溶出は、チャーの度合い、つまり焦がし具合にもよるようである。もちろん樽材によっても違いはあり、スペインのコモンオークは、ホワイトオークと比べるとタンニンが多く溶出する特性をもつ。シングルモルトのザ・マッカランやサントリーの山崎のモルト原酒などにその個性がうかがえる。
バーボンはワニだぞ
これがリチャーの後の樽内面(写真3点とも白州蒸溜所/撮影・川田雅宏) |
バーボンは小さな樽をかなりきつく焼く。3段階のチャーがあり、ライト、ミディアム、アリゲーター。もっとも強く焼くアリゲーターはその名の通り、ワニの皮を連想させる四角いパターン模様ができるほど焼く。焦がすのではなく焼く、といったイメージとなる。バーボンのあの日なた臭い香味は、原料のともろこしやアリゲーターの焼きなど、いろんな要因がある。
おすすめINDEX・ウイスキーの歴史と製造法のリンク集
『熟成ってなーに。樽の中で何が起きている?』と
『ウイスキー博物学 樽と熟成の話』も是非一読いただきたい。