シングルモルトもブレンデッドも変わりない
賞味期限に関するニュースが踊り踊った年だった。やっちゃった連中はもちろんいけない。でも今月のメルマガにも書いたが、日本の食品表示法にも大いに問題はある。これを語り出すときりがないので、とにかくウイスキーに関する賞味期限について述べる。結論。賞味期限の記載は義務づけられていない。これはシングルモルトもブレンデッドも変わりない。
あくまで未開栓の場合だが、保管状態さえよければウイスキーやワインといったアルコール度数の高い酒は中味の品質が安定しており、期限の義務づけはされていない。
ビールに関しては、ビール業界の自主規制(公正競争規約)により義務づけられている。
ウイスキーは蒸溜したアルコール度数の高い酒。未開栓で冷暗所に保存、匂いの強いもののそばに置かないなどの保管状態が悪くなければ、10年くらいは大きな変化はない。一部ワインのように瓶熟することはないが、そんなワインのように飲み頃を気遣う必要もない。
またワインや清酒の生酒は開栓してしまうと、短日で風味の劣化が生じる。生酒など酢のようになるのが早く、料理酒にも使えなくなってしまう。だが酢になっても体に害がある訳ではない。
コルク栓の古いボトルにはコルク臭が付着
封切り直後の香り立ちは、なんとも素敵だ |
アルコール分が飛んでしまい、個性ある香味が失われ、アクセントのない味わいに感じられたら、それが劣化だ。とはいっても体に影響はない。
ただ、やはり開栓後はできるだけ早く飲んだ方がいい。飲みきれない場合はせめて1年以内に飲みきっていただきたい。これって気分の問題だと思うが、開栓して1年以上経つと、なんか飲みづらくなるのではなかろうか。
それと現在はキャップシールの気密性が非常に高くなっているが、オールドボトルを高温の場所に置きっぱなしだと、開栓していなくても蒸散してしまう。
1960年頃のボトルで高温の場所で40年経ったものを何本か見せてもらったことがあるが、未開栓でボトル半分の量になっていて驚いたことがある。
またオールドボトルでコルク栓の場合、長期保存でコルク臭がウイスキーに移っていることが多い。
現在は圧縮コルクを薄い皮膜で覆ってあるので、昔のようなコルクの強い付臭を感じることはない。
賞味期限に関してはこれでおしまい。
INDEX『歴史や製造法』もご一読いただきたい。
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