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ウイスキー&バー/ウイスキーが「分かる」人の飲み方

5回ウイスキーとソーダの相性を探る(2ページ目)

ウイスキー入門としてソーダ割りで慣れ親しむのが手っ取り早いと行ってきたが、いろいろ試すと相性というものがあってなかなか奥が深い。どんなウイスキーにも合う、万能ソーダってのはあり得ないのかもしれない。

協力:サントリー
達磨 信

執筆者:達磨 信

ウイスキー&バーガイド

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また山崎の天然水を使ったソーダだから、シングルモルトの山崎がいちばん合うんだろうな、と考えるのは甘い。もちろん山崎との相性はいいに決まっている。でもソーダってのはクセものなんだな。
ハイボール
ソーダがキレイだと原酒の個性も際立っておいしい
実は私は白州10年や12年をプレミアムソーダで割ったほうが好きなのだ。これはまったくもって好み、の話。ソーダがキレイだと原酒の個性も際立つ。山崎の独特の甘いバニラ香がプレミアムソーダで割るとよく感じられるが、私はそれよりも白州を割ったすっきり感のほうを好む。白州って、ソーダ割りに適したシングルモルトなのではなかろうか。もちろんストレート、水割りも旨いのだが。

ウイスキーは水で割ってみよう

ウイスキーは少量の水で割ってみると非常に面白い。いろんな表情をみせる。ソーダでの実験話はおしまいにして、ここからはちょっと別の見方の話をしよう。

シングルモルトのたとえば15年熟成のもので、熟した果実のような甘く豊かな香味の一瓶があったとする。ストレートで飲むと、それはそれは素晴らしい。ところがだ。水を少量加えると、あちゃっ、とがっかりするほど崩れてしまう。果実のような熟成感の中に、かすかなスモーキーさ、といった味わいだったものが、スモーキーないがらっぽさだけが目立つ酒となってしまうのだ。
それは何故か。大麦の仕込みから蒸溜までのつくり込みの深遠さが足りないからで、樽熟成による化粧だけの香味になってしまっているからだ。

バーで、バーテンダーがオールドボトルを懐かしむ。私はその姿を好きになれない。でも気持ちはよくわかる。スコッチの中には経営効率に走り、つくり込みの深遠さを失ってしまっているものが多い。
つくり込みに時間をかけない。安価な酵母を使う。すると蒸溜したての原酒のポテンシャルが弱い。それを樽熟成しても、芯の部分が弱いから、上っ面の化粧だけになる。だから水を加えると、グシャッと砕けてしまうのだ。

いい酒は水で2倍、3倍に延ばしてもしっかりとした香味を保つ、とよく私は書くのだが、それはしっかりとしたつくり込みがなされているということなのだ。

水で割って深遠さの有無を知り、ソーダで割って相性を試したり、ウイスキーっていろいろ愉しめる。皆さんも暇があったら実験してみるといい。

前回の私の好きなカクテル4回『最高のソーダを教えよう』も是非、ご覧いただきたい。
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