ソーダがキレイだと原酒の個性も際立っておいしい |
ウイスキーは水で割ってみよう
ウイスキーは少量の水で割ってみると非常に面白い。いろんな表情をみせる。ソーダでの実験話はおしまいにして、ここからはちょっと別の見方の話をしよう。シングルモルトのたとえば15年熟成のもので、熟した果実のような甘く豊かな香味の一瓶があったとする。ストレートで飲むと、それはそれは素晴らしい。ところがだ。水を少量加えると、あちゃっ、とがっかりするほど崩れてしまう。果実のような熟成感の中に、かすかなスモーキーさ、といった味わいだったものが、スモーキーないがらっぽさだけが目立つ酒となってしまうのだ。
それは何故か。大麦の仕込みから蒸溜までのつくり込みの深遠さが足りないからで、樽熟成による化粧だけの香味になってしまっているからだ。
バーで、バーテンダーがオールドボトルを懐かしむ。私はその姿を好きになれない。でも気持ちはよくわかる。スコッチの中には経営効率に走り、つくり込みの深遠さを失ってしまっているものが多い。
つくり込みに時間をかけない。安価な酵母を使う。すると蒸溜したての原酒のポテンシャルが弱い。それを樽熟成しても、芯の部分が弱いから、上っ面の化粧だけになる。だから水を加えると、グシャッと砕けてしまうのだ。
いい酒は水で2倍、3倍に延ばしてもしっかりとした香味を保つ、とよく私は書くのだが、それはしっかりとしたつくり込みがなされているということなのだ。
水で割って深遠さの有無を知り、ソーダで割って相性を試したり、ウイスキーっていろいろ愉しめる。皆さんも暇があったら実験してみるといい。
前回の私の好きなカクテル4回『最高のソーダを教えよう』も是非、ご覧いただきたい。