たとえばビール。グラスの中を泡が立ちのぼり、層をつくる。香りがあり、色がある。それらを感じながらでないと飲んだ気がしない。味気ないのだ。
とはいってもいまの世の中、ジュースもコーヒーも缶だらけである。生きているからには缶との接触は避けられない。だからグラスに中身を移す前に味気なさを覚えている自分がいる。
何故なのだろうと思う。缶の長所も知っているのだが、手軽さというか気安さというか、なんか馴れ馴れしさがあるのが嫌なんだろう。缶ビール以上に馴れ馴れしさを感じるのが缶チューハイだ。味もやけに親し気なのだ。飲みやすくおいしくつくりました、それでこんなに安いよ、といかにも的なあざとさを感じてしまう。
いかにもが缶に入っている。そんな先入観を拭えないでいる。
これには反論があって当然だと思う。ただメーカーを責めるつもりはない。焼酎ブーム、シングルモルトウイスキーが人気、といっても酒全体の飲酒量は下がっている。飲む人が減っているのだ。だからどういう形にしろ、酒を飲ませるという努力をしなければいけない。その努力は認めた上で、私は自分で金を払っては飲みません、他の酒を飲みますと言っているだけなのだ。
ベビー・サイズで乾杯しよう。
それでやっと女性にすすめる年末年始の酒である。ゆったりとした時間があるんだから、この時ばかりはお手軽プルトップ、プシュッはよそうではないか、とういう提案だ。バーも正月は休みってところが多いからね。独断と偏見で、今年なんとなく気になった酒を語りながら、おすすめを伝えよう。
まず乾杯の酒。ウイスキーのサイトだがあえてスパークリングワインを紹介する。いまちょうどTVCMをやってるフレシネ ベビー。浜崎あゆみが『ホワイト クリスマス』を歌っているCMだ。
フレシネは、スペイン語でカヴァと呼ばれるスパークリングワイン。上品な辛口で、爽やかさがある。何よりもベビー・サイズの187ml。まあグラス2杯分の量である。これならひとりでもOKだ。値段は500円ぐらいのはずだ。
ふたりで1本、4人で2本。とりあえずのビールに変えて、たまにはスパークリングワイン、フレシネ ベビーではじめてみたら。
乾杯の次はウイスキー。夏頃の記事でサントリーリザーブ10年シェリー樽仕上げ(¥2,205)をすすめたが、まだの人は正月にゆっくりどうぞ。ただシェリーの香味が効いたウイスキーで、おすすめでない飲み方がある。次頁はその飲み方からお教えする。(次頁へつづく)