和菓子/上生菓子

美しい一対「黒牡丹」「君牡丹」文銭堂本舗(2ページ目)

古い和菓子店が次々と店を閉める新橋で、いつも変わらず温かい笑顔とお茶で出迎えてくれる「御菓子司 文銭堂本舗」。忙しいサラリーマンの町のオアシスです。

原 亜樹子

執筆者:原 亜樹子

和菓子ガイド

美しい一対の上生菓子「黒牡丹」「君牡丹」

黒牡丹
絵になる一対
「黒牡丹」(右)「君牡丹」(左)
牡丹の蕾を思わせる
毎月6種類の季節の上生菓子に加え、季節を問わず定番で作られているのが「黒牡丹」と「君牡丹」。漆黒と黄色の対比も美しく、随所に職人の技が光る一対です。

牡丹の蕾を思わせる釣鐘の形は、日本庭園で見かけた椅子の形をヒントにしたとか。どちらも今のご主人が26~27年前に考案したそうですが、斬新な意匠は今も新鮮に感じられます。

黒牡丹
餡の色とは違う
「黒牡丹」の漆黒。
色の正体は黒胡麻
初めての人はまず、漆黒の色に驚くという「黒牡丹」は黒胡麻の煉切で黄味餡を包んだものです。油が分離しやすい胡麻を煉切に使うのは、技に自信があるから出来ること。

口に含むと胡麻の豊かな香りとコク、黄味餡の柔らかな風味が広がります。姿にも味わいにも品格を感じる逸品です。

君牡丹
「君牡丹」
卵の優しい風味あふれる黄味餡。
わずかに柚子を入れている。
黄味餡で鹿の子餡(蜜を含ませた大納言の餡)を包んだ「君牡丹」。「黄味」ではなく「君」の字を使うところが和菓子らしく風流です。

田口さんによると「卵の扱い次第で味に大きな差が出る」という黄味餡ですが、「君牡丹」を始め、「文銭堂本舗」では卵を使ったお菓子が非常に美味しいのです。例えば白餡に卵黄などを合わせて焼いた桃山製の「瑞祥」は、しっとりと滑らかで極上の仕上がり。ここにも匠の技を感じます。

白胡麻羊羹
「白胡麻羹」
胡麻使いの巧さを生かした
新作の本煉羊羹
派手ではないけれど心惹かれる美しさと美味しさがある「文銭堂本舗」のお菓子。加えて客1人1人を大切にする気持ちの良い接客が、店の賑わいに繋がっているのだと思います。

戦後ほどなく創業した同店を支えた職人の腕と美味しいものを届けようという心意気が、今も確かに生きていることを感じます。

<店データ>
「御菓子司 文銭堂本舗」
◇新橋店(本店)
所在地:東京都港区新橋3-6-14
電話番号:03-3591-4441
営業時間:8:45~19:30(平日)9:00~15:00(土曜)
定休日:日・祝日
JR新橋駅烏森口より徒歩約3分
地図:新橋店地図

◇三田店
所在地:東京都港区三田2-13-9
電話番号:03-3451-6604
営業時間:9:00~18:30(平日)9:00~15:00(土曜)
定休日:日・祝日
慶應義塾大学 三田キャンパス東門よりすぐ
地図:三田店地図

◇予算一例:
「文銭最中・小豆」1個126円
「文銭最中・栗」1個158円
「文銭最中・小倉(大)」1個158円
「文銭最中・白隠元(大)」1個158円
「黒牡丹」1個315円
「君牡丹」1個315円

【上生菓子の美味しいお店】
キリッと江戸風「秋色庵 大坂家」(三田)
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