三ツ星の味、アルザスの味!
・ラングスティーヌのポワレとセップ茸のリゾット 甲殻類のエミュルション今回、一番のお気に入りは何と言ってもコレ! とても繊細な火入れのラングスティーヌ(手長海老)。パリや南仏系の料理とはまた違う、塩をしっかりきかせたパンチのあるスープに、パルメザン風味のチュイール。そこにリゾットを合わせることで塩辛さを少し和らげ、絶妙な一体感を生み出しています。このバランス感は、間違いなく三ツ星クラスの料理。
・仔羊のロティ<アビヴェール>とそのジュ マンステールに伝わる付け合わせと共に
これぞ地方三ツ星の料理、と言わんばかりの素朴なビジュアル。羊にほうれん草を巻きつけてロースト。だから「avec(~と共に)」「vert(緑)」なのですね。肉はまったく臭みがなくいたってミルキー。それが牛肉のような旨みを含んでいて、とてもジューシー。ソースにもこの上品かつ濃厚な羊の味が、しっかりと生きています。
また、付け合せその1は、オリーブを練り込んだじゃがいものピュレ。その2が、トマトの中にシャンピニオン(きのこ)やズッキーニ、アーモンドを詰めて、パン粉の生地でふたをして揚げています。トマトのジュースをたっぷりと吸った具材が素朴なおいしさを放っています。
・柑橘類のジュレ 自家製パンデピスとビールのアイスクリーム
オレンジ、グレープフルーツ、ルビーグレープフルーツを円形に並べ、中心にはビールのほのかな苦味をきかせたアイス。その下にはパンデピスの甘苦さをいかしたビスキュイ。それぞれ食べてもおいしいのに、上からスプーンで一緒にすくって食べれば、素晴らしい調和を見せてくれます。先ほどの魚料理と同様、組み合わせの妙を味わえるデザートです。
・プティフール
次ページでは、「オーベルジュ・ド・リル」のスペシャリテと、素晴らしい空間をご紹介。