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オーベルジュ・ド・リル ナゴヤ(名古屋)(4ページ目)

大阪から新幹線で1時間。今回は[出張編]として、名古屋の「オーベルジュ・ド・リル ナゴヤ」をご紹介。地上42階からの眺望を持つ都会的なビルの中、ナチュラルな質感あふれる三ツ星フランス料理がいただけます。

執筆者:渡部 功平

多くのスペシャリテは名店の証

ソーテルヌのサービスも嬉しいスペシャリテ、フォアグラのテリーヌ
ソーテルヌのサービスも嬉しいスペシャリテ、フォアグラのテリーヌ
料理は郷土料理としての素朴さをメインにしながら、現代的なエスプリを少し加えたものまで。何せアルザスの「リル」本店は、親子2代に渡って三ツ星を維持。父・ポール・エーベルラン氏の郷土料理に強く根ざした料理と、現シェフ、マルク・エーベルラン氏が少しずつアップデートしているものがあり、「スペシャリテ(名物料理)」と呼ばれるものだけでも「グルヌイユのムースリーヌ」や「ペーシュ・エーベルラン」など、たくさん。時間を積み重ねることでのみ生まれる、名店としての重厚さを持っています。

その数あるスペシャリテの中でも、ぜひ食べておきたいのが「鵞鳥のフォアグラのテリーヌ オーベルジュドリル風」(アラカルトで5,000円、ハーフポーションで3,000円)。先ほどのポワレで使われていたのは軽めの鴨のフォアグラですが、こちらの鵞鳥(ガチョウ)のものの方が融点が高く、味も濃厚で、テリーヌにするとより重厚な味わいになります。ポルト酒のジュレを添えて供されるこのテリーヌ、いままで食べたものの中でもっともまろやかな味わい。口に入れた瞬間に、津波のようにどっと襲ってくる旨みに抗うのは不可能。サービスとして出されるソーテルヌを少し置いて開かせたら、フォアグラとねっとり絡み合うマリアージュを楽しみましょう。恍惚の瞬間となること間違いなしです。

アルザス本店は緑いっぱいの素敵な一軒家
アルザス本店は緑いっぱいの素敵な一軒家
さて、料理の味にはまったく文句なしのおいしさ。しかし、おいしいだけでは「オーベルジュ・ド・リル」の名を冠する資格はありません。あの自然に包まれた空間でいただく空気を、この42階でいかに表現できるか。「リル」を名乗る以上は、「リル」ならではの良さを持っていなくてはなりません。

「オーベルジュ・ド・リル」としての良さ

「シャンデリアはギラギラしているもの」という固定概念を覆されました。
「シャンデリアはギラギラしているもの」という固定概念を覆されました。
しかし、こちらの空間に入ると、思っていた以上にその良さを備えています。写真で見るととても豪奢な雰囲気に見える、直径5m(!)のシャンデリア。しかし、実物を目の前にすると、オリーブの木でできたシャンデリアには、思いのほか素朴な味わいがあります。床も同じオリーブを使い、極力人工物を排した縦長の空間は、「リル」本店の巨大な絵と共に、都会の42階にありながら地方オーベルジュのエッセンスを持っているのです。こちらをデザインしたインテリアデザイナー、森田恭通氏といえば、「シャトーレストラン ジョエル・ロブション」など、とにかくゴージャスなデザインで有名。そのため、「リル」の良さがちゃんと表現されているのか不安でしたが、果たせるかな。冒頭で書いた不安は見事、杞憂に終わりました。洗練された空間には、そこかしこに牧歌的な要素が散りばめられ、「オーベルジュ・ド・リル」本店のような素朴な良さをしっかりと持った、ひと味違う「リル」となっているのです。

食事が終わった後は、こちらの「ナゴヤ」で陣頭指揮を執るシェフに少しお話をうかがいました。今回、名古屋初となる「ひらまつ」系列の出店にあたり、平松氏が指名したシェフは、他のひらまつ系列の店でも豊富な経験を持つ、中廣 太一氏。直前には丸の内の「サンス・エ・サヴール」にいたとのことで、ある意味で「リル」の料理とは対称的なモダンな料理をされていたそう。

料理だけではない、それが三ツ星の素晴らしさ
料理だけではない、それが三ツ星の素晴らしさ
しかし、ここでは「リル」として、本店のエーベルラン氏とコミュニケーションしながら、以前とは違った良さを持つ料理を生み出しています。さまざまな最先端の料理を経験し、その技術と経験を帰納法的に生かし、クラシックな「リル」の料理を作り出すシェフ。「リル」本店の料理も2代に渡って三ツ星を保持しながら、しっかりと進化しており、そこにはエーベルラン親子だけではなく、多くのスタッフの力も寄与しています。

中廣氏の「ナゴヤ」スタッフのチームも、これから「リル」本店の料理の進化を、むしろ逆にエンパワーメントしていくのではないか。そんな思いを抱くほど、素晴らしい料理・サービス・雰囲気で、「夢の世界」としての三ツ星フランス料理を体験しました。

<店データ>
レストランはミッドランドスクエアの42階です
レストランはミッドランドスクエアの42階です
■「オーベルジュ・ド・リル ナゴヤ
所在地:愛知県名古屋市中村区名駅4-7-1 ミッドランド スクエア 42階
TEL:052-527-8880
定休日:無休
営業時間:11:00~14:00(ラストオーダー)
     17:30~21:00(ラストオーダー)
交通・アクセス:各線名古屋駅 徒歩2分
地図:Yahoo! 地図
席数:ダイニング52席 個室2室

お店のホームページ:オーベルジュ・ド・リル ナゴヤ


「名古屋」ガイド、大竹 敏之さんの「ミッドランドスクエア」の紹介記事もどうぞ!
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