銀の塔に眠るワイン

銀色に輝く圧搾機のハンドルを回すと、鴨の骨や肉からエキスが搾り出される。それを火にかけてとろりと艶やかなソースに仕上げ、皿の上に待ち構えた胸肉にたっぷりとかけて供する。19世紀に考案されたこの特別料理と、鴨に一羽ずつ通し番号をつけて供することで有名なのはパリの『ラ・トゥール・ダルジャン』(フランス語で『銀の塔』の意)というレストランだ。パリでこの鴨を天皇が食されたことや、東京のホテル・ニューオータニに支店があることでも知られる。

古いコルクをていねいに抜栓して古酒を味わう (写真提供:レコール・デュ・ヴァン)

本店のカーヴ(酒庫)には40万本、1万4千種のワインが眠る。この酒庫を管理するカヴィスト(酒庫係)は日本人の林秀樹氏である。彼が選んだ古酒を味わう特別授業に参加するため、東京・恵比寿のワインスクール『レコール・デュ・ヴァン』を訪れた。同校のパリ校設立準備に携わっている林氏は、年に数回来日する度にヨーロッパからワインを持ち帰って日本で披露しているのである。