カフェイン
カフェインは、お茶に含まれる成分として、非常に良く知られています。この成分は、ちょっと難しい言葉でいうと、プリン塩基(プリン(環を基本骨格とする生体物質で核酸あるいはアルカロイドの塩基性物質であるもの)の総称で、プリン体とも総称されています。いわゆる痛風のもとになる尿酸と同じ性格の物質です。)の一種です。茶が、多年にわたり人類によって飲まれ続けられてきたのは、このカフェインがあったからではないかといわれるほど、様々な効能を持つ物質ですが、もちろん、茶に固有に含まれているわけではありません。
例えば、お茶の様にカフェインを含有する植物は、数十種あるとされており、コーヒー、カカオ、マテ、ガラナ、コーラにも含まれています。特に、お茶のカフェイン含有量がこれらの中でも多いといわれます。
茶の中に存在することは、1827年にイギリスのウードリーによって、初めて発見されました。当時この物質は「茶素(ティン)」と名付けられましたが、その後、1820年にスイスのルンゲがコーヒーから見付けていた「カフェイン」と同一の物質であることが判明し、その後はカフェインと呼ばれるようになっています。
カフェインは、茶葉中には、通常2~4%程度含まれており、苦味をもつ物質であるため、カフェインの茶湯の中に溶け出す量によって、茶の味わいに大きな影響を与えます。カテキンの渋み、カフェインの苦味、さらに後にノベルアミノ酸系の物質の旨みのバランスでお茶の味は決まると言っても過言ではないでしょう。
なお、カフェインはカテキンと違って、春一番で摘む1番茶と、それ以降に摘む2、3番茶では含有量がほとんど変わらないため、コンスタントな味のベースとなる物質とも言えるでしょう。
このようにカフェインの含有量は経年変化が少なく、また熱処理でも性質が変わらないため、緑茶から紅茶まで、またプーアル茶においても一定量が含まれています。
よくカフェインの少ないお茶としてプーアル茶が掲げられますが、それは誤りで、年代の経ったプーアル茶にも一定のカフェインが含まれています。
ちなみに、カフェインは、芽の部分に多く含まれており、下の葉になるにつれ含有量が減少します。ほうじ茶や番茶にカフェインが少ないのは、あくまでも芽よりも下の大きな茶葉を多く使っているからです。
もし、芽の部分を多く利用した煎茶をほうじ茶にした場合、カフェインの含有量はそれなりに含まれていると言うことになります。一般的にほうじ茶にはカフェインが少ないといわれるのは、通常芽の部分を使うことが無く、安価な成葉を利用することが多いからなのです。
さて、紅茶をアイスティーにするときに、ときどき白く濁る「クリームダウン」という現象が起こりますが、これは、カフェインとタンニンが複合体をつくって未ずに溶けにくい性質になるため考えられています。このように、カフェインは茶の味や見栄えに一定の影響を与える物質でもあるのです。
なお、カフェインの効能としては、覚醒作用(疲労感や眠気の除去)、持久力増加、二日酔い防止、利尿作用、疲労回復などが上げられています。このような効能があるからこそ、茶は長い間飲み続けられてきたのでしょう。