さて、今回ご紹介するアジアンスイーツ(というよりお菓子かも……)、日本ではほとんど知られていない「三不粘(サンプチャン)」。どんなスイーツか早速見てみましょう。
三不粘は、もちもちとした食感の中国スイーツ
これが三不粘 |
原料は「卵」、「砂糖」、「ラード」、「でんぷん」だけ。溶いた卵黄にでんぷんの粉と砂糖を加えて、鍋でラードとともにゆっくり時間をかけて丁寧に練るのですが、この練り加減が難しくて、中国では2人しか作れないといわれるのだそうです。
北京の「同和居」は、180年もの歴史ある老舗の山東レストラン。北京の市街地から少し離れた西城区三里河にあるのですが、人気のレストランでいつもにぎわっているのだそうです。
ここでだされる「三不粘」は、王府井にあった「承華園」というレストランのコックさんが作り出してそれが同和居に引き継がれたといわれています。もともとは、卵白をつかった鶏料理で有名だったお店だそうですが、毎日たくさんあまってしまった卵黄の使い道に困った厨房師(料理人)が作ったのがこの三不粘だったのだそうです。
(別の説もあって、宋代の有名な詩人陸遊の奥さんである唐[王宛]が、陸遊の母の60歳の誕生日に姑の難題に答えて作ったのがこの「三不粘」だとも言われています。)
ところで、この「三不粘」という名前ですが、読んで字のごとく「みっつのくっつかない。」。つまり、「お箸にくっつかない」、「お皿にくっつかない」、「歯にもくっつかない」というところから来たんだそうです。
三不粘が食べられるお店 東京「龍水楼」
三不粘を取り分けて くれる龍水楼のご主人 |
このお店で三不粘は、有名な子羊のしゃぶしゃぶ料理やコース料理を頼んだときに予約すると食べることができるという幻のスイーツなのです。
ご主人が楽しい説明付きで熱々の「三不粘」を各人に取り分けてくれるのですが、その食感は餅もちとしていて、本当に「三不粘」なのです。味わいは「カスタード饅頭」か甘さ控えめの「鶏卵素麺」という感じ。卵黄の味わいと甘さが口の中でじんわりと広がってとてもおいしい。
ご主人曰く「昔、有吉佐和子さんが「三不粘」があるというのでエッセイの出版記念の宴会をうちでやってくれたんだけど、「北京のとは味が違う」っていってたんだよ。それはそのとおり。だって、北京の本場のものはもっと砂糖も油も多いんだよ。あそこまでにしてしまうとくどいから、うちのはこの味。」とのこと。
たしかにこれ以上甘く、油が多かったら食後のデザートには不向きですね。
一緒にだされた茉莉花茶とのマッチングもなかなかのもの。もう一つだされる牛乳を使っていない「桂花入り杏仁豆腐」とともに、是非味わってもらいたい一品です。
■ 龍水楼 住所:東京都千代田区神田錦町1-8 電話:03-3292-1001 営業:11:30~14:00/17:00~20:00(最終開始時刻18:30~・土曜日18:00~) 定休:日曜・祝日 HP:http://ryusuirou.gourmet.coocan.jp/ 最寄駅:小川町・淡路町・新御茶ノ水 |
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